ボクは現在、産業カウンセラーの資格を取得し、フリーの心理カウンセラーとして活動しています。心理カウンセラーとして働く中で、心理カウンセリングに対する誤った知識や思い違いが広がっていると感じており、今回から「もっと気軽に心理カウンセリング利用してみよ~よ!」を目的に掲げ、お伝えしたいと思います。
「カウンセリング」って何だ?
皆さんは、『心理カウンセリング』『カウンセリング』と言うとどんなイメージをお持ちでしょうか?
精神疾患の人のためのもの?
精神障害者の人のためのもの?
何か特別な病気を持っている人のためのもの?
“心が弱い”人のためのもの?
怪しい
なんとなく信頼できない
効果なんてあるわけない
もちろん、肯定的なイメージを持っておられる方もいると思うのですが、一度も心理カウンセリングを受けられたことのない方というのは、おおよそこの様なイメージをお持ちではないでしょうか?
今回のコラムでは、まず「(心理)カウンセリングとはなんぞ?」というところからご説明したいと思います。
以下は、厚生労働省の『e-ヘルスネット』からの抜粋です。
カウンセリングと心理療法は、一般的には明確に区別せずに用いられることが多いですが、厳密には異なる点もあります。
カウンセリングは、主に心理の専門家がクライエントや患者の話を傾聴したり受容したりしながら、クライエントや患者の心情や状況の理解に努めることによって、主体的に問題の解決を行っていけるようにサポートすることを指します。
一方で、心理療法はより医学的モデルによる要素が強く、標的となる症状や状態あるいは解決したい問題などに対しての改善や解決を目的として行われることが一般的です。心理療法には来談者中心療法、認知行動療法、精神分析的心理療法、遊戯療法、家族療法、問題解決療法などいくつかの技法があるほか、近年は患者の状態・状況に合わせて最適なアプローチを選択する「統合折衷型アプローチ」と呼ばれる技法も増えてきています。また、近年は科学的立場に基づく「本当に効果のある方法」による介入が重視されてきており、実証的な証拠(エビデンス)に基づく支援の必要性が強調されるようにもなっています。
引用元:厚生労働省|e-ヘルスネット
また、同じ厚生労働省の『こころもメンテしよう~若者を支えるメンタルヘルスサイト~』にはこう書かれています。
「カウンセリング」の元々の意味は「相談」、「助言」のことですが、こころの診療においては、医師やカウンセラーが心の悩みを聞き、こころの専門家としての視点から指導や援助を行う治療を意味しています。指導や援助といっても、医師やカウンセラーは具体的な指示をすることもあれば、ただ話をまとめるだけのこともあり、また治療にかかる時間についても様々です。
悩んでいたり、つらい気持ちのときには、自分の気持ちがよくわからなったり、どうしたらよいのか迷ってしまうこともあるでしょう。自分のことを話し、それをしっかり聞いてもらうことで、問題点が整理できたり、解決への糸口が見つかったりします。
カウンセリングは、どうしたらよいのかのアドバイスを受けたり、答えを出してもらったりするためものではありません。自分自身の力で立直っていくきっかけをつくったり、気持ちや考え方を整理していくサポートを行ったりするのがカウンセリングなのです。
引用元:厚生労働省|こころもメンテしよう~若者を支えるメンタルヘルスサイト~
心理カウンセリングにおいて大切なことは2つ
お話を進める前に、用語の整理をさせて下さい。
日本では言葉の使い方がとてもあやふやになってきており、医療の現場では『心理療法』と言う言葉が一般的ですが、一般用語として「カウンセリング」「心理カウンセリング」と使われることが多いと思います。
ここでもう、お気づきの方もおられるかと思いますが、ボクは「カウンセリング」ではなくあえて「心理カウンセリング」と言う様にしています。それはなぜか…
例えば、ドラッグストアに行くと「カウンセリング化粧品」があったり最近流行りの脱毛サロンなどに行くと問診のことを「事前カウンセリング」と言ったりして、本来の「カウンセリング」とは少し意味合いがが違う使い方をしている事を見聞きします。
そのためここでは心理的解決方法の一つとして用いられるものを「心理カウンセリング」と言うことし、「心理カウンセリング」を行う人を「心理カウンセラー」と言うことにしたいと思います。
また、相談者や患者、利用者などの「心理カウンセリングを受ける人」のことを「クライエント」としたいと思います。
さて『e-ヘルスネット』『こころもメンテしよう~若者を支えるメンタルヘルスサイト~』の二つのサイトから説明を引用してきましたが、両者ともに共通する事柄があります。
1つは「専門家がクライエントの話しを聴く」。
もう1つは「主体的に問題解決をするためのサポートをする」。
この2つが共通して言えることかと思います。
心理カウンセリングにおいて、クライエントの問題解決の方法・手段として用いられるのは『対話(話しをしたり話しを聴いたり)』でありその目的は『クライエントが主体的に問題解決に取り組む様になること』である、と言い換えられるのではないでしょうか。
少し繰り返しになる部分もあるのですが、強調しておきたいのは心理カウンセリングにおいて『対話』と言う方法を使うけれど『心理カウンセラーは指示や助言を与えない』事と『問題解決はクライエントが主体的に行う』と言うことを、まずは理解していただきたいと思います。
これで少し、心理カウンセリングはどんな方法で何を目的に行うものなのか、と言う事をおおよそ理解していただけたのではないでしょうか?
次回は、「なぜ日本では心理カウンセリングに否定的で一般的ではないのか」について、ボクなりの私見をお伝えしていきたいと思います。