発達障がい児を育てながら、働くために私が「しない事」

不妊治療を経て35才で出産。生後10か月から保育園に預けて、仕事に復帰。保育園・夜間保育・学童保育、実家のサポートの恩恵に預りながら、ASD(自閉症スペクトラム障害)の息子とやりがいのある仕事の狭間で、私自身毎日をあわただしく過ごしています。

発達障がいは発達凸凹

発達障がいは、見た目ではなかなかわかりませんが、得意なこととそうでないことが凸凹していて、成長のスピードもそれぞれです。苦手な事にぶつかった時、トラブルになることもしばしばあります。

うちの息子は、こだわりが強く、集団があまり得意ではありません。保育園や学校ではよく奇声を上げたり、かんしゃくを起こしたります。

実は、お友達にケガをさせてしまったり、トラブルになり緊急呼び出しもしばしば…。「愛情不足では?」と実家からアドバイスがあり、家では少しでも息子との時間をなるべく持つように心がけていました。

「私が頑張れば…」は間違い

息子との時間を少しでも多く捻出するために、家事のスキルをあげよう、時短術をマスターしよう、仕事を人に任せるようにしよう、マルチタスク力を上げよう、と頑張っていました。

しかし、スキルアップしようとすればするほど、気持ちに余裕がなくなってイライラ。イライラが極まると「こんなに頑張っているのに・・・」と疲れ果てて、落ち込む…ということを繰り返していました。

仕事で困難にぶつかった時、一人では到底解決できそうにない時には、すぐに上司や仲間に報告連絡し相談します。一人で抱え込んで、結果何も良くならないという状態になる方が、社会人として無責任だと知っているからです。

しかし、子育てにおいてはそれがなかなか出来ない…。母として、父として、責任を果たすためには、自分が頑張るしかないという呪縛のような、イメージがまだまだあるような気がします。私は、まさにその呪縛によって疲弊していました。

頑張ることより素直でいられることを選ぶ

そんな時、ある親御さんから「親子のゴールデンタイムは10年ほど。子供との時間は永遠ではない。」という話を伺って、私が頑張るだけでは、10年では間に合わない…!と目が覚めたような気がしました。

「本当は、起こることや環境のせいにせずに、息子との時間をもっと楽しみたい!」という本当の自分の気持ちに素直になることにしました。

野原を手をつないで歩く父親と娘の後ろ姿

発達凸凹のわが子との時間を楽しむために「しない事」3つ

それから、素敵だなあ!と思うパパさんママさんにお会いする度に「しない、と決めている事」についてお話を聞くようにしました。

「する事」ではなく「しない事」を聞いたのには理由があります。「する事」を聞いてしまうと、あれもこれもやらなきゃとますますタスクが増えて、忙しくなってしまいそうだからです。発達っ子は、型破りで奇想天外。息子が不意の出来事を引き起こす事を踏まえると、「する事」を増やすより、心身ともに少々余裕を持っておきたい。今よりやる事を減らしてより良くなれたら…と思ったのです。そうして「しない事」を聞きまわり、頂いたご意見から厳選した「しない事」を始めました。

【しない事1】過剰な心配はしない。

例えば「もし、いじめられたらどうしよう…。」「もし、勉強についていけなかったらどうしよう…。」「将来、就職出来なかったらどうしよう…。」「仕事がうまくいかなかったらどうしよう…。」など、先のことを過剰に案ずることはしない。

「時代の変化のスピードが速いので、まだ起こってもいないことを心配するというのは、徒労になる可能性が高い。なので、将来について過剰な心配はしません。わからないことを心配するより、今好きなこと、得意なことを大切に、出来ることをやる方がいい。」素晴らしい経営者で、発達障がい児の親でもあるあるパパさんから学んだ「しない事」です。

真似をしてみて気が付いたことは、出来ない事を案ずるより、好きな事や得意な事をやってみる方がずっと楽しいし、大切にした事の積み重ねが未来である、という事。過剰な心配は、良い未来を創ることはありません。

【しない事2】期待をしない。

例えば「頑張れば出来るはず。」「やる気さえあれば、出来るはず」「うちの子はやれば出来るはず」「もっと、こうしてくれたら」など、本人が望んでいない事を先回りして過度に求めない。

「頑張るってプラスの言葉として受け止めている人の方が少ないですよね。単純な応援として頑張れって言われたことがある人って、意外と少ないんですよ。」と、活動を共にするJPFA代表理事の平林景氏が言っていて、そうなのか!と。確かに記憶を辿ると、出来ない事を出来るように促されるときに「頑張れ!」と言われることが多かったような気がします。

運営する放課後等デイサービスでも、出来ない事を出来るようにすることより出来ることや得意なことを磨くことを大切にしています。自己肯定感を育むためです。楽しいね!面白いね!と、興味関心に寄り添って一緒にワクワクを共有することで、発達凸凹っ子の明日への希望がより膨らむことがあると思っています。

【しない事3】なんとなくの「すいません、、、。」は言わない。

「いつもうちの子がすいません…。」「すいません…うちの子がご迷惑かけてないですか…?」など、無意識でも子供を否定しているかの様なことは言わない。

わが子が周りから嫌われずに、うまくやっていくために謙虚に…と配慮している保護者さんって割といらっしゃるのではないか、と思います。私自身、無意識で保育園やママ友に「すいません…」と言っている時期がありました。息子がトラブルを起こしたときに、あるママ友が「すいませんじゃないよ。いろいろお互い様だし、お互いおかげ様のところたくさんあるし。」と言ってくれて、ホッとして涙したことがあります。
それからは「すいません…」は「ありがとうございます…!」か「お世話になります…!」と、感謝の気持ちに置き換えて伝えるようにしています。

「しない事」を決めたことで、息子の成長にどのくらいいい影響があったのかはわかりません。だけど、私には心の余裕が出来ました。出来ることを増やそうとしていた時より、息子と笑って過ごせることが増えたと思います。

後から気が付いたのですが、「しない事」を真似する、というこの方法は意外と的を得ていたのではないかと思っています。ビジネスにおいて、成功法はその人だけのものであることが多いですが、うまくいかない事には共通点があることが多く、うまくいかない事を避ける方が有益であることが多いのです。

多様な社会は家庭から。まずは、私が私らしく。

大切なわが子を愛しみ育てるお父様お母様ご自身も、大切な存在です。

発達凸凹っ子を育てながら、やりがいのある仕事を持つ保護者の皆様へのエールになるように。また、出産や子育てをこれから迎える方の、将来の不安を希望に変えられるように、これからも私が私らしくいることを大切に、愛する息子と共に歩んで参ります。

工作をしながら笑顔を見せる母親と息子の写真
アピールしたい職歴・スキルだけで応募できる!
ABOUT ME
一般社団法人Next Cure 代表理事/gaia株式会社 執行役員/一般社団法人日本障がい者ファッション協会 広報 発達障害・学習障害の子ども達の秘密基地「放課後等デイサービスかしのき教室」を大阪府茨木市で経営。音を色形で感じる「色聴」当事者で、ASDと診断された7歳の息子の母親。就職を目指す教育、周りに合わせる教育ではなく、楽しくワクワクする為に人生を歩ける教育をデザイン。発達凸凹はバリュー!を合言葉に、コドモのワクワク秘密基地プロジェクトを進行中。