イラストでインナーチャイルドの変化を紹介!カウンセリング開始から1年半後の“心の世界”

子供たちが集まって会話をしている手描きのスケッチ。

持続的な虐待やDVなどのトラウマ体験をきっかけに発症するといわれている、複雑性PTSD。治療のためのカウンセリングを受け始めて1年半が経った今、私の心に広がる世界は大きく変わった。

今回は伝わりやすいようにイラストを交えながら、私の中で生きるインナーチャイルドに起きた変化を伝えたい。

バラバラに生きていたインナーチャイルドたち

インナーチャイルドとは、自分の中にいる「傷ついたあの頃の私」のこと。自分とは別の存在が心の中にいると捉えるため、自分相手だと「抱いてはいけない」と思いやすい感情も受け止めやすくなる。

カウンセリングを通して、私は5人のインナーチャイルドを見つけることができたが、治療を開始した当初はそれぞれのインナーチャイルドがバラバラに生き、暴走しているみたいだった。

川沿いの道を描いた鉛筆のスケッチと人物のイラスト。

これは当時、頭の中に浮かんでいた心の中の光景だ。左上にいる「空(そら)」というインナーチャイルドは、暗くて鍵がかかった部屋で座り込んでいた。

空がいる部屋のドアを開けられないように守っているのは、「憂(ゆう)と」いうインナーチャイルド。攻撃的で怒りの感情が強く、日常生活の中で憂のモードになると、イライラした気持ちを大声で吐き出さずにいられなかった。

右上にいるのは、小学校低学年くらいの自分。空と憂との距離は遠く、どう関わっていいのか分からず、立ちすくんでいる。

他2人のインナーチャイルドはこの当時、まだ現れていない。大人の私(中央)は、みんながバラバラで生きている様子を見て、「どうすればいいのだろう」と戸惑っていた。

治療半年後にインナーチャイルド全員の顔が見えた

治療を半年続けると、心の中の世界は少し変化。インナーチャイルドが全員、正面を向いてくれた。

様々なキャラクターを描いた手描きのキャラクターデザインスケッチ。

左にいるのは、憂。他のインナーチャイルドよりも、ちょっぴりギャルっぽい。その隣は、空。暗い部屋から出てきてくれ、表情が見えるようになった。

2人の子どもを連れているのは、大人の私。子どもの私(右の子)とは見えない糸でつながっている。左の男の子と中央にいる女性らしい「愛」は、カウンセリングを続ける中で現れたインナーチャイルドだ。

愛は欠けた記憶を持っていることも多く、特に関わり方や受け止め方を見つけるのが難しかった。このイラストを描いた時も、どんな服を着せたらいいのか、着たいと思っているのかが分からず、服装が描けなかった。

治療1年半後の心には“色彩豊かな世界”が…

重い体とかろうじて息をしている心をメンタルクリニックに連れて行く日々は、地獄のようだった。

だが、ゆっくりでも、それぞれのインナーチャイルドが何に傷つき、どう感じてきたのかをカウンセラーと一緒に見つけていく中で、頭に浮かぶ心の景色が徐々に変わっていった。

カウンセリング開始から1年半が経った頃、私の心はようやく色彩豊かで穏やかな世界になった。

子供たちが集まって会話をしている手描きのスケッチ。

心の中のイラストを描いている時には、自然と色をつけたくなったことに驚いた。今までは、モノクロの世界を描く以外の発想など頭に浮かばなかったから。

肩を組む3人組は大人の私、愛、憂(左から)。子どもの私は、大人の私に抱かれている。その光景を後ろで見ているのは、空。孤独感はなく、微笑ましいと思っている。近くにいる男の子は、好きなおもちゃで遊んでいる。

みんながいる場所は、自然豊かな小島。周囲には川があるため、誰にも居場所を侵害されない。小島の後ろには、行きたい時と思った時だけ別の小島に繋がる道や透明のドアがある。閉じ込められてもいない、安全な場所だ。

この光景は、愛の気持ちととことん向き合った日のカウンセリング後に浮かんだもの。見えた時は、電車の中だというのに涙が抑えきれなかった。

それ以降、辛い時などにこの光景を思い浮かべると、これまで生きる中で経験したことがないほど穏やかな静寂が訪れるようになった。心が波立っていないとはこういうことか、と初めて分かった気がした。

自分で描いた“心の中の世界”には現実世界とのリンクもあり、驚いた。なんと、インナーチャイルドたちがいる場所を自宅に置き換えると、現実世界では森の位置には竹林があり、小島の位置には隣家があった。

透明なドアの先には親が暮らす実家があり、川の位置には用水路が流れていた。この不思議なシンクロに気づいた時、ああ、インナーチャイルドたちは我が家でみんな、私と一緒に生きてるんだなと思った。

複雑性PTSDの症状には個人差があり、心の中に広がる世界や変わっていく心の捉え方・見え方も人によって違う。治療の効果を感じるまでには、膨大な月日を費やすこともある。

そう聞くと、治療に繋がるのが怖くなるかもしれないが、死にたくなるほどの痛みをひとりで抱え込んで自分を責めないでほしいと私は思う。必死に生き延びてきたあなたのこれからに笑顔が増やせるよう、まずはトラウマ治療に詳しい専門医を探してほしい。

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ABOUT ME
猫の下僕のフリーライター。愛玩動物飼養管理士などの資格を活かしながら大手出版社が運営するウェブメディアにて猫に関する記事を執筆。共著作は『バズにゃん』。書籍レビューや生きづらさに関する記事も執筆しており、自身も生きづらさを感じてきたからこそ、知人と「合同会社Break Room」を設立。生きづらさを抱える人の支援を行っている。