『BOOKOFF SUPER BAZAAR』が生み出す多様性のある環境とは。店舗併設型の特例子会社ビーアシスト株式会社 業務推進部長 大西 美香さん、人財開発部長 深水 清志さん企業インタビュー

『パラちゃんねるカフェ』がお届けする障がい者雇用に取り組む企業インタビュー。今回は、本やCD・ゲーム、洋服などの買い取りと中古販売を行う「BOOKOFF」チェーンを展開するブックオフグループホールディングス株式会社の特例子会社ビーアシスト株式会社の業務推進部長 大西 美香(おおにしみか)さん、人財開発部長 深水 清志(ふかみずきよし)さんに設立経緯や事業内容、今後の取り組みについて伺いました。

はじめに

本やCD・ゲーム、洋服などの買い取りと中古販売でお馴染みのブックオフグループは、「多くの人に楽しく豊かな生活を提供する」 ことをミッションに掲げて、全国799店舗(2023年4月末時点) を展開しています。

ビーアシスト株式会社は、特例子会社として2010年に設立され、本社以外に店舗併設型とロジスティクスセンター併設型の5事業所にて104名(2023年5月時点) の障害者雇用 を実現しています。

今回は、ビーアシスト株式会社 業務推進部長 大西 美香さん、人財開発部長 深水 清志さんに設立経緯や事業内容、今後の取り組みについて伺いました。

『パラちゃんねるカフェ』がお届けする障がい者雇用に取り組む企業インタビュー。障がい者雇用を推進している企業やこれから働こうとしている障がいのある皆さまに、ぜひ読んでいただければ幸いです。

完璧に固執しないことがコミュニケーションの機会に繋がる

ビーアシスト株式会社では、知的障がいのある方を中心に身体障がいや精神障がいのある方など障がい種別問わず、同じ職場で業務に従事されています。具体的な業務内容について教えてください。

ビーアシストの特徴は、店舗併設型の運営スタイルです。現在、大型総合リユース店である『BOOKOFF SUPER BAZAAR』で、本、CD・DVDやレコード、アパレル、ホビーなどの加工・値付け業務を主に担当し、一部の事業所では店内での商品補充や売場整理、お客様のご案内なども対応しています。

障がい者雇用ではトラブルを予測した結果、店内作業ではなく在庫管理などのバックオフィスでの就労に留まる場合が多くあります。特例子会社の設立から現在のスタイルに至るまでの経緯を教えてください。

当初、法定雇用率の達成に向けて2009年に店舗運営の事業会社であるブックオフコーポレーション㈱にて各店舗での採用を開始しましたが、新規出店、子会社の設立や合併により企業規模が成長し続ける中で限定的な採用だと間に合わず、より注力した活動が必要と判断して特例子会社の設立に至りました。

2023年5月時点で2.41%の実雇用率となっています。法定雇用率の達成後も店舗からの業務依頼が増えており、採用は継続中と伺いました。障がい者雇用の浸透に苦労する会社も少なくありませんが、どのような工夫があるのでしょうか?

もちろん当初から依頼があったわけではありません。業務依頼に100%の成果で納品しようと目指した結果、限定した業務しか受託できずに案件が無くなってしまったり、店舗も許容の範囲がわからずに業務依頼が出せなかったりと互いに上手くやろうとし過ぎるあまりに意思疎通のズレが生まれていました。ただ、店舗としては60~70%の工程が委託できるだけで助かるという業務もあって、まずは70%納品を目安に業務受託を進めてみると店舗から「思っていたよりやってくれる」「助かる」という声が増えて、結果として業務範囲も量も徐々に改善されていきました。

スタートの段階では完璧を敢えて目指さないことで、事業所と店舗のハードルが下がり、結果として加点式の評価軸となり、支え合いの構図が成り立ったように思います。支え合いの前提にある信頼関係を築くために大切にしていることはありますか?

ビーアシストが掲げる4つの約束です。「気持ちの良いあいさつをする」「はっきりと大きな声で返事をする」「時間を守る」「身だしなみを整える」は、信頼関係を作る基盤になっていると感じます。社会人としての基礎を一所懸命に頑張ることで、習熟は浅いけど、真面目に頑張っているからもう少し様子を見よう、根気強く教えてみよう、という支える、応援するという仲間意識へと繋がっているような気がします。

BOOKOFF SUPER BAZAARの店舗でビーアシスト株式会社の社員が衣類の整理やアクセサリーの準備、書籍の陳列作業をしている様子。

個々の成長を見守るビーアシスト統合キャリアパスプラン

設立から13年目を迎えるビーアシスト株式会社では、障がいのある社員(パートナースタッフ)がチームリーダーを担っています。評価制度やキャリアパスについて教えてください。

ビーアシスト統合キャリアパスプランとしてマネジメントコース、エキスパートコース、スペシャリストコースの3つのコース制を導入しています。コースの特徴としては、コースに応じた時給の差はなく、マネジメントコースのみ月給制へのプロセスが少し省略されるという仕組みになっています。6カ月に1度の評価面談でコース変更も可能なため、自分の特性に合うコースをじっくりと選ぶことが可能になっています。

パートナースタッフを適切にコースへ乗せるためにも、配属チームとのマッチングが重要に思います。採用時または入社後の配属で工夫されていることはありますか?

業務においてはコツコツと繰り返し取り組むことで必ず成長できると考えているため、採用時には4つの約束ができているかどうかを判断基準としています。また、配属においては、まずはメイン業務に従事してもらいます。全員が経験している業務だからこそ、「合う」「合わない」といった適正の見極めがしやすいと考えていて、その後は、適正に合わせたジョブローテーションとなります。

店舗併設型の事業所においては業務範囲を限定しなければ職域は多岐に渡りますので、適正に合う仕事も見つけやすくなります。そのため、何よりも4つの約束がきちんとできるということが重要です。

店舗併設型が生み出す多様性と変化

現在、104名(2023年5月時点)のパートナースタッフが本社、事業所問わず、ブックオフグループの従業員と一緒に就労しています。障がい者雇用を10年以上継続する中で生まれた社内風土の変化はありますか?

障がいのある方に対する配慮や理解が深まっています。一緒に働く仲間として障がいの有無は関係ないし、あくまでもひとつの個性として捉えてくれる従業員は増えています。表立って表明することはありませんが、従業員の親族・親戚にも似たような境遇の方はいると思いますし、目には見えないエンゲージメントとして寄与している部分もあるのかもしれません。

店長が店舗の売上達成率を事業所にも報告に来てくれるというエピソードがありました。長い時間をかけてチーム一丸となるコミュニケーションが醸成されているように感じます。

コミュニケーションの積み重ねの結果として、店舗の売上達成のための重要な工数として計算してもらえている証拠だと思っています。法定雇用率の達成に向けて始まった障がい者雇用の取り組みですが、働くやりがいや誇りに目を向けたときには誰かの役に立つ、必要とされているという達成感が重要ですし、その点においては売上にダイレクトに寄与できる環境は誰にとってもわかりやすく、仲間意識も醸成されやすいのかもしれません。

さいごに

さいごに読者の方々へメッセージをお願いします。

誰かの役に立てることだったり、誰かのお世話になることだったり、相互関係の中で成り立っている社会を知ることが大切だと思うので、自分も誰かの助けになれると信じる気持ちを大切にして欲しいです。面接でも「おうちでお手伝いしていますか?」と質問するのですが、やっぱり感謝されるという経験が社会で働くための原体験にもなると思いますし、私たちもそういう場を作って提供したいと考えています。興味のある方はぜひビーアシスト株式会社を訪問して欲しいと思います。

特例子会社ビーアシスト株式会社の社員が企業イベントで集合写真を撮影している様子。多くの社員がカメラに向かってピースサインをしている。

取材後記

当日は川崎事業所での取材を実施しました。パートナースタッフの皆さまから歓迎の言葉や業務内容の説明もあり、ビーアシスト株式会社の掲げる4つの約束を肌で感じることができました。店舗で障がい者雇用を目指す時、顧客トラブルへの懸念から採用が限定的になりがちですが、業務や職域を限定するのではなく障がい者雇用に限らず、誰にもミスやトラブルはあるものと当たり前に完璧を求めないことを再度意識することが重要なのではないでしょうか。

ビーアシスト株式会社の存在が店舗全体の活気へと繋がり、ブックオフグループ全体の成長を後押ししていると確信するインタビューとなりました。見学の申し出は支援機関を通じた応募がスムーズということですので、ぜひ興味のある方はお近くの支援機関へまずはお問い合わせください。

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