私は統合失調症になってから24年経ちましたが、2度の再発を経験しながらも症状がゆっくりと回復してきました。
現在は体調の波はあるものの、病気の直後に比べるととても生きやすいです。
今回は自分の経験を振り返ってみて、統合失調症から回復するために必要だと思った3つの要因についてお話します。
統合失調症になって辛い症状を抱えながら「本当に回復できるのだろうか?」と、日々不安の中で過ごしている人は多いかもしれません。
私も病気の発症直後5年余りは体調の大きな波の中で、妄想や無気力といった症状に悩まされながら「いつになったら普通の生活ができるのだろうか」と悶々とした毎日を送ってきました。
あれから20年以上経った現在は、多少の生きづらさはあるものの、見た目だけでは病気があるのがわからないほど元気になりました。
私が統合失調症からの回復に大きく左右したと思う3つの要因があります。
自分の体質にあった薬
1つ目は医師から処方された薬です。
統合失調症からの回復には通院と投薬が欠かせません。
特に自分の体質に合う薬を用いることで、大きく回復が進む場合があります。
しかし、自分の体質や病気の症状に上手く作用する薬を見つけるのは容易ではなく、実際に薬を飲みはじめて「副作用はでないのか」「十分な効果があるのか」が時間をかけてわかってきます。
なるべく早く自分の体質や症状に合った薬と出会うことが大切です。
医師の方針にもよりますが、私は自分に合う薬に出会うまで、主治医と相談しながら何度か変薬を重ねてきました。
自分の体質に合った薬を主治医と相談しながら見つけられたのは、回復への近道になったと思っています。
時薬
2つ目は時薬(ときくすり)です。
時薬というのは「時間が経つのが薬になる」という意味の言葉です。
統合失調症になって受けた心の傷は想像以上に大きく、精神的なショックやダメージから立ち直るにはそれなりに時間がかかります。
時が経つことで、当事者や周囲の方が「病気と共に生きていこう」という覚悟を決め、生き直す力を育むことができます。
私の場合も「なぜ自分がこんな病気にならなければならないのか」という、人生の理不尽さを時が解決してくれたように思います。
時間とともに自分の生き方や人生を見つめなおし「もう一度生きてみよう」という心の準備ができました。
人薬
3つ目は人薬(ひとくすり)です。
精神的に病気から立ち直るには、時薬や処方薬だけでなく、周囲の支えが必要だと感じています。
家族や友人、医師や看護師、同じ病気の仲間など、周囲の人との良好な関係が薬のように作用して、当事者に良い影響を与えてくれます。
周りの人の理解や支援、愛情、信頼関係が心の滋養になるのです。
処方薬や時薬だけでは回復できない社会性を育むのも、切磋琢磨できる人間関係ならではではないでしょうか。
私も同病の仲間との励まし合いや家族の厳しくも温かい支えがあって、一人の人間としての自信を取り戻せたように感じます。
病気になって失った自信や安心感は、人との間でしか回復できないものです。
3つの「薬」が影響し合いながら回復していく
統合失調症になってから現在までを振り返ると、この3つの「薬」が私の回復の大きな要因だったように思います。
自分の体質に合った処方薬・時薬・人薬が相互に影響し合いながら、ゆっくりと回復への道をたどりました。
回復までの道のりやかかる時間は人それぞれかと思いますが、私の経験が今病気で苦しんでいる誰かの一助になれたら幸いです。