特定求職者雇用開発助成金の申請手続きをわかりやすく解説!初めて障害者雇用を行う際の注意点も紹介

特定求職者雇用開発助成金の申請手続きについてわかりやすく解説するイラスト。黄色いスーツの人物が指を指して説明しています。

特定求職者雇用開発助成金をご存じですか。
一定の条件で労働者を雇用した場合に助成金が支給される制度です。
ただし、助成金の申請方法はわかりにくく、躊躇してしまう方が多いでしょう。

そこで、本記事では特定求職者雇用開発助成金の申請方法や助成額について解説します。
初めて障害者雇用を行う際の注意点についても説明します。
初めての方でもわかるように解説しますので、本記事を参考に障害者雇用を進めていきましょう。

厚生労働省の助成金「特定求職者雇用開発助成金」とは?

「特定求職者雇用開発助成金」の目的と概要は以下の通りです。

  • 概要:高年齢者(60歳以上65歳未満の方)、障害者などの就職が特に困難な者を、ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により、継続して雇用する労働者等として雇い入れる事業主に対して助成するもの
  • 目的:これらの方の雇用機会の増大および雇用の安定を図る

7つのコースに分かれています。
それぞれのコースについて、概要を表にまとめました。
特定求職者雇用開発助成金は、令和5年度に見直しがなされる予定となっていますので、見直し予定の内容についても掲載しました。

表1. 令和5年3月までの特定求職者雇用開発助成金 各コースの概要と令和5年度の見直しによる変更(予定)

特定求職者雇用開発助成金の各コースと令和5年度見直しによる変更を示した表。高年齢者や障害者、被災者などの雇用支援について詳述。

参照:厚生労働省 事業主の方のための雇用関係助成金 5.雇入れ関係の助成金
参照:厚生労働省 特定求職者雇用開発助成金の令和5年度の主な見直し

今後の動向にも注目していく必要があります。

支給対象になる労働者

特定求職者雇用開発助成金の支給対象となる労働者の年齢は、生涯現役コース以外のコース共通で「雇い入れ日現在の満年齢が65歳未満」の必要があります。
生涯現役コースのみ、65歳以上が対象です。
年齢以外の支給対象に関する要件は、コースにより異なります。

ここでは、パラちゃんねるを利用する方に関連する「特定就職困難者コース」について解説します。
 
特定就職困難者コースでは、雇い入れ日現在の満年齢が65歳未満の方のうち、以下の要件に該当する方が主な支給対象者です。

  1.  60歳以上の方
  2. 身体障害者
  3. 知的障害者
  4. 精神障害者
  5. 母子家庭の母等
  6. 父子家庭の父(児童扶養手当を受給している方に限る)など

上記も含め17の要件があります。

さらに、以下の1〜5のいずれかに該当する方は「重度障害者」となり、例外が適用されます。

【重度障害者】

  1. 重度身体障害者
  2. 身体障害者のうち45歳以上の方
  3. 重度知的障害者
  4. 知的障害者のうち45歳以上の方
  5. 精神障害者

重度障害者の方を短時間労働以外の労働者として雇い入れる場合は、ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等から紹介を受けた日に在職中であっても、支給対象労働者となります。

上記以外のコースについて、詳しく知りたい方は以下の資料をご覧ください。

参照:『厚生労働省 事業主の方のための雇用関係助成金 5.雇入れ関係の助成金』

支給対象にならない場合

雇い入れ対象者が、特定求職者雇用開発助成金の対象とならない場合の要件も定められています。
これを「不支給要件」と呼びます。

申請前に不支給要件にあてはまっていないか十分確認する必要があります。
代表的な例は以下の通りです。

  • ハローワークまたは民間の紹介事業者等の紹介前に雇用の内定があった
  • 雇い入れ日の前日から雇い入れ事業主と過去3年以内に以下の状態にあった
    1. 雇用・請負・委任もしくは、出向・派遣等で就労歴がある
    2. 通算して3か月を超えた訓練や実習があった
    3. 短期の職場適応訓練を除く職場適応訓練を受けた
      ※上記要件がある事業主と、密接な関係にある事業主が雇い入れる
  • 雇い入れ事業主の事業所の代表か取締役の3等身以内の親族 

など

助成金の対象でない場合には、申請書類が送付されません。

「特定求職者雇用開発助成金」の支給額

支給額は以下の点により、変動します。

  • 企業規模
  • 重度障害者にあたるか
  • 労働時間

中小企業事業主の定義は以下の表に記載の通りです。

特定求職者雇用開発助成金の申請手続きに関する表で、小売業、サービス業、卸売業、その他の業種ごとに資本金と常時雇用する労働者の数が記載されています。

短時間労働とは、一週間の労働時間が20時間以上30時間以下の方を指します。

特定求職者雇用開発助成金の支給額と助成対象期間に関する表。高年齢者、重度障害者、短時間労働者などの対象労働者ごとに詳細が記載されています。

引用:特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)

支給額を見ると、労働時間においては短時間労働者よりそれ以外の労働者の支給額が多いです。
重度障害者の方はさらに支給額が多くなります。

「特定求職者雇用開発助成金」の申請方法をわかりやすく解説!

ここでは、特定求職者雇用開発助成金のうち、「特定就職困難者コース」の申請方法について詳しく解説します。
わかりやすく解説しますので、一つずつ確認しながら進めていきましょう。

ほかのコースの申請方法も同様となります。
※令和5年2月現在の申請方法です。

特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)の申請方法

特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)の申請方法は以下の7ステップです。

  1. ハローワークまたはパラちゃんねるなど雇用関係助成金を取り扱う職業紹介事業者等へ求人の申し込み
  2. ハローワークやパラちゃんねるからの紹介により対象労働者の雇い入れ
  3. 助成金センターまたは労働局より申請書類一式の郵送
  4. 第一期の支給申請
  5. 支給申請された書類の審査・調査
  6. 支給・不支給決定
  7. 助成金の支給

支給申請までの流れについて、図に示しました。

特定求職者雇用開発助成金の支給申請までの流れを示す図。求人の申し込みから助成金の支給までのステップが詳述されています。
1月15日に中小企業事業主が母子家庭の母を雇い入れた場合の支給対象期間と支給申請期間を示す例の図。各期間の詳細が説明されています。

各ステップで行う内容と留意点について、解説します。

1. ハローワークやパラちゃんねるへ求人の申し込み

まずは、ハローワークまたはパラちゃんねる等の雇用関係助成金を取り扱う職業紹介事業者へ求人の申込をします。

ハローワークへ求人の申し込みをしたら、パラちゃんねるにも求人の申し込みをしましょう。
パラちゃんねるはハローワークの求人と連携しており、ハローワークの求人をもとに、わずか3分でパラちゃんねるの求人を作成できるため、求人活動の省力化が可能です。

2. ハローワークやパラちゃんねるからの紹介により対象労働者の雇い入れ

ハローワークやパラちゃんねるから紹介を受け、労働者を採用します。
紹介を受けて雇い入れしないと助成金の支給対象となりません。

紹介を受けていないため、不支給となるケースは以下の通りです。

  • 企業のホームページから直接応募してきた方を採用した場合
  • 知人や親族などの紹介で採用した場合
  • ハローワークやパラちゃんねるの求人票を見て紹介状をもらわずに直接応募してきた方を採用した場合

応募時には、必ずハローワークからの紹介状を提出してもらいましょう。
パラちゃんねるから紹介する場合は、対象労働者に職業紹介証明書を発行します。

雇い入れをしたら、以下の2つを速やかに行いましょう

  • 紹介元に選考結果の通知を行う
  • 雇用保険の加入手続き
■選考結果の通知

紹介元に対し選考結果の通知を行います。
ハローワーク経由ならハローワークへ、パラちゃんねる経由ならパラちゃんねるへ採用した旨を連絡します。
この手続きをしていないと、助成金センターから申請書類が届きません。

パラちゃんねる経由で採用した場合は、パラちゃんねるに採用した旨を連絡すれば、パラちゃんねるが管轄の助成金センターまたは労働局へ連絡をしてくれます。

■雇用保険の加入手続き

雇用保険の加入手続きとは、以下を意味します。

「雇い入れ日の属する月の翌月10日までに事業所の所在地を管轄するハローワーク雇用保険適用課」に「雇用保険被保険者資格取得届」を提出する

具体的にいうと「2月1日が雇い入れ日の場合、3月10日までに上記手続きを行わなければならない」のです。

3. 助成金センターまたは労働局より申請書類一式の郵送

雇い入れ日から約4〜5ヶ月後に助成金センターまたは労働局から事業者へ申請書類一式が郵送されます。
届かない場合は、管轄の助成金センターまたは労働局の窓口に問い合わせをしましょう。
以下のページ、もしくは事業所の所在地を管轄する労働局のウェブサイトに相談窓口の情報が掲載されています。

参照:『厚生労働省 助成金のお問い合わせ先・申請先のご案内』

東京都の場合は、以下の通りです。

参照:『東京都労働局 各種助成金制度』
参照:『東京都労働局 各種助成金制度 雇用関係助成金 相談窓口一覧』

4. 第一期の支給申請

雇い入れ後、最初の賃金〆切日の翌日から起算して約6ヶ月後に第一期の支給申請を行います。
申請可能な期間は2ヶ月間です。

助成金センターから郵送された申請書に必要事項を記入して提出します。
提出方法は、郵送と電子申請の2つです。

電子申請は、郵送の手間がかからず簡単に申請ができるのでとても便利です。
電子申請には以下のようなメリットがあります。

  • 24時間申請可能
  • どこからでも申請できる
  • マイページで申請状況を確認できる
  • パソコンだけで手続きを完了可能

電子申請は、インターネット行政手続システムのe-Govを利用して行います。
アプリのインストールや電子証明書の準備など、事前準備が必要ですが、一度整えてしまえばその後の申請手続きが楽になるでしょう。
詳しくはこちらをご覧ください。
参照:『厚生労働省 特定求職者雇用開発助成金の電子申請』

申請に必要な書類は以下の通りです。
申請手続きを行うために揃えておきましょう。

【必須の添付書類】
  • 賃金台帳(写しでも可)
  • 支給申請書(第1期・様式第3号、第2〜6期・様式第4号)
  • 対象労働者の雇用契約書(雇用条件通知書)
  • 支給要件確認申立書(様式第1号)
  • 職業紹介証明書(紹介を受けたハローワークまたは職業紹介事業者が発行したもの)
  • 出勤簿
  • 対象労働者雇用状況申立書(様式第5号)
  • 雇入れ日において対象労働者であるのを証明するための書類

上記以外にも必要に応じて支給申請書に添付する書類が発生する場合があります。

参照:『 厚生労働省 5 特定求職者雇用開発助成金 (1) 特定就職困難者コース 0602 添付書類等 表5』

以下のページから様式のダウンロードが可能です。

参照:『厚生労働省 雇用関係助成金に共通の要件等 申請様式』(様式第1号)
参照:『厚生労働省 特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)お問い合わせと申請手続き 支給申請書ダウンロード』(様式第3・4・5号)

5. 支給申請された書類の審査・調査

支給申請を受け、書類の審査や調査が行われます。

6. 支給・不支給決定

支給申請から約2〜3ヶ月後に支給・不支給が決定します。
さらに長い期間かかるケースもあります。

7. 助成金の支給

支給決定から約1週間程度で助成金が指定の口座に振り込まれます。

以上が特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)の申請手続きです。

「パラちゃんねる」で採用した場合とハローワークで採用した場合の申請手続きの違いとは?

パラちゃんねる経由で採用した場合とハローワーク経由で採用した場合の申請手続きの違いについて紹介します。

違いは以下の2点です。

  • 職業紹介証明書の発行元
  • 採用通知の流れ

内容を表にまとめました。

ハローワーク経由とパラちゃんねる経由での職業紹介証明書の発行元と採用通知の方法を比較する表。

採用通知を行うと、雇用した日から約4〜5ヶ月後に助成金センターまたは労働局から事業者に対し申請書類が郵送されます。

パラちゃんねるの紹介を受けて職業紹介証明書を提出してもらったうえで採用しなければ助成金の申請はできません。

申請手続きの難易度は?

初めての申請の場合は、ハードルが高いと感じる方が多いものですが、採用担当者の方でも手続き可能なくらいの難易度です。

もちろん、社労士等の専門職に依頼する方法もありますが、第一期だけでなく第二期の申請もあります。
経費削減のためにチャレンジしてもよいのではないでしょうか。

行政の窓口に問い合わせるのに抵抗がある方は、以下の「パラちゃんねる窓口recruit@parachannel.jp)」までご相談ください。

初めて障害者を雇い入れるときの手続きと注意点

障害者を雇用する場合は、雇い入れた方に合った環境調整は、雇用継続するために重要です。

環境調整等について、以下の届け出が必要となります。

  • 障害者職業生活相談員の選任
    ※常時雇用する障害者が5名以上になった場合
  • 障害者雇用推進者の選任(障害者雇用義務のある事業主)
  • 障害者の解雇の届け出(全事業主)

e-Govにて電子申請が可能です。

また、初めて障害者の方を雇い入れる際の注意点は以下の3つです。

  1. 雇用分野での差別禁止
  2. 合理的配慮の提供義務
  3. 雇用分野での相談体制の整備・苦情処理・紛争解決への援助

1.と2.については「障害者差別解消法」に、3.は「障害者雇用促進法」に定められていますので、以下をご覧になるとよいでしょう。

参照:『内閣府 障害者差別解消法リーフレット
参照:『厚生労働者 障害者雇用促進法

特定求職者雇用開発助成金を活用して障害者雇用を始めましょう

本記事では、特定求職者雇用開発助成金の申請方法と初めて障害者雇用を行う際の注意点について解説しました。

初めて障害者雇用を行うときには不安はつきものです。
さらに申請手続きはわかりにくく労力を必要とするでしょう。
しかし、法定雇用率を満たし、共生社会の実現に向けた障害者雇用の推進は、企業イメージの向上にもつながります。

本記事を参考に特定求職者雇用開発助成金を活用して障害者雇用を推進しましょう。

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