いつもは精神保健福祉士や保育士、ファイナンシャルプランナーであることを活かした実務寄りの記事が多いのですが、今回は少し趣向を変えて牧歌的に。
法律、医学、福祉など……人生に迷ったときに助けになってくれるものは多々あります。そして文学もそのひとつです。
色とりどりな作家たちの魂のこもった人生へのアンサーは、私たちに生きるヒントと勇気を与えてくれます。
苦しみに、悩みに、不安に立ち向かっている時に読みたい名作
ー 『デミアン』 ヘルマン・ヘッセ 著
https://www.shinchosha.co.jp/book/200102
人生とはいつも何かが目の前に立ち塞がるものだと思います。
この作品の主人公シンクレールもまた、成長とともに何かに立ち向かい続けます。年上の親友デミアン、ひねくれ者のオルガン奏者ピストーリウス、大いなる母性を持つエヴァ夫人らとの交流を通して「自分」というものを発見してゆく物語です。
シンクレールがもがきながらも「自分」を見つけてゆく姿は読者に強い感動と共感を与えます。きっとあなたにとっても何度も読み返したくなる大切な一冊になるはず。
自分の人生を見つめなおし、生き方のヒントが見つかる1冊
ー 『金閣寺』 三島由紀夫 著
https://www.shinchosha.co.jp/book/105045
コンプレックスと崇拝が美しい金閣を燃やし尽くす怨念の炎に変わるまでの物語。吃音を持つ坊主の少年が自身の憧れの象徴であった金閣寺を燃やすに至る心情の移ろいを繊細に描いた、儚くも力強い作品です。
生まれながらにハンデとコンプレックスを持ち、賢くも内向的な主人公の独白形式で執筆されており、その心の葛藤が著者の圧倒的表現力によって執拗なほどに描写されます。
自分の心の中にも彼のような気持ちがいつもあったなと思うことがきっとあるでしょう。自分の内面の暗いところを覗くことは勇気がいります。しかし主人公の人生を通して、自分の人生を見つめ直すことで、これからの生き方のヒントが最後には絶対に見つかると思いますよ。
コスパ至上主義の競争社会に疲れてしまったときに癒される美しい名作
ー 『伊豆の踊子』 川端康成
https://www.shinchosha.co.jp/book/100245
都会の学生が伊豆に一人旅へ出かけ、そこの々とのふれあいを通して自分を見つめ直します。都会的価値観に染まり、それは人間を卑しくしているかもしれないと心をデトックスさせてゆくような流れです。
IT化による急速な競争社会となり、優しさや情緒のようなものは「コスパが悪い」と切り捨てられる現代。疲れてしまった時は本作を読んで心のバランスを整えてみてて欲しいです。
読んだことのある方は多くいるかもしれません。ですが大人になった今だからこそ読み直してみませんか? 上記の2作品に比べると読書習慣の無い方にとっても読みやすいです。
まとめ
上記は全て私個人としても大きな影響を受け、この上なく大切な作品です。皆さんも人生に迷った時、文学に触れてみましょう。そこにはきっと思いがけない答えを見つけることができるでしょう。