重度障害を持つ僕の子育ての現実

楽しそうにお風呂に入る赤ちゃん

僕は重度の身体障害者ですが3人の子供を育てています。赤ちゃんのころ、僕は奥さんが赤ちゃんの世話をしている姿を、横からぼーっと見てみていることしかできませんでした。お風呂に一緒に入るようになったことで僕の「子供に対して何も出来ていない」という無力感は、少し和らいだように思います。

次男の出産と無力感

僕は重度の身体障害者ですが3人の子供を育てています。長女(20歳)と長男(19歳)は奥さんの連れ子で、次男(6歳)は再婚後にできた子供ということになります。

青空を背景に紙で作られた家のシルエットを持つ手の画像。
重度障害者の僕がどのように2人の連れ子と向き合ってきたのか重度障害者の僕が2人の子どものシングルマザーと結婚をしました。重度の障害を抱えながらの子育てへの不安。いつまでも自分の出来ない部分だけを見て迷いながら過ごす僕を変えてくれたのは子供たちでした。...

次男の出産に立ち会った僕は赤ちゃんの手を握り、「この子のためになんでもがんばるぞ」と心の中で誓いました。

赤ちゃんの小さな手のクローズアップ

しかし、身体障害者の子育ての現実はそんなには甘くはありません。僕は左腕と左足に麻痺があり、全く動かすことができませんし、脳出血の後遺症として高次脳機能障害を抱えています。

広い芝生の上を走る子供。
3人の子どもを育てる高次脳機能障害&左半身まひの僕の日常で起こること僕は30歳のときに突然脳出血を起こし、その後遺症として身体と脳に障害を抱えることになりました。今回は僕が抱える障害の特性についてどんな症状が実際に起こるのかも含めて書かせていただきます。...

僕にとって、生まれたばかりの子を腕に抱くことも一苦労です。奥さんに頼み込んで、やっとのことで抱っこ紐を使いながら赤ちゃんを抱っこさせてもらいましたが、その瞬間にギャン泣きされてしまいました。すぐに奥さんから「危ないから」という理由で抱っこは中断されました。

赤ちゃんのころ、僕は奥さんが赤ちゃんの世話をしている姿を、横からぼーっと見ていることしかできませんでした。何か力になりたくても、僕のこの身体で赤ちゃんの世話をすることは危険です。僕は無力だったのです。

一緒にお風呂に入ることで和らいだ無力感

しかし、そんな僕にもチャンスが訪れます。一人立ちが出来るようになった頃に、初めて「この子と一緒にお風呂に入ってみる?」と奥さんから提案されました。

身体障害を持つ僕にとってお風呂場は滑りやすいので転倒など怪我のリスクがあり、かなり危険で気を使わなければいけない場所です。それでも、奥さんは「子供も一人立ちができるようになったので、なんとかなるだろう」と思ってくれたようです。

僕は2つ返事で「やってみたい!」と言いました。

では、どのように一緒にお風呂に入るのか。まず、僕がいつも通りにお風呂に入り湯船につかったところで奥さんに子供を連れてきてもらいます。子供の身体や髪を洗ってもらった状態で湯船の僕の横にちょこんと立たせます。

身動きはほとんどとらない子供と湯船の中に座った僕が横並びになっているだけ。本当にそれだけです。僕の頭の高さに子供の顔がある。ただ、それだけ。それ以上は無理に動かず、僕は話をしました

でも、笑いながら話ができました。ただ、それだけを続けます。まだ2、3歳なのでそれほど長くは湯船に浸かっていられません。顔を見合わせて変な顔をして笑ったり、一緒に歌ったり、話をしたり。

そんなことを繰り返し繰り返し行いました。そうすることで僕の「子供に対して何も出来ていない」という無力感は、少し和らいだように思います。

「障害のある自分には何もできないかもしれない」と思っていましたが、子供と一緒に湯船に入れたことはとてもうれしかったです。それからも奥さんの手間にはなりましたが、一緒にお風呂に入ることを続けました。今年小学生になる今でも、です。

おわりに

身体障害者でもどのような症状が出ているかによって可能なことは変わってきます。「子供をお風呂に入れよう」としたときに、子供の身体を洗ってあげて、湯船につからせて、という工程を全てはできない人もいるでしょう。

ただ、僕が最初にしていたのは隣に立たせて話をしていただけです。そこからスキンシップをとっていったので、自分でお風呂に入ることができる方なら、どなたでも可能なのではないでしょうか。

長い時間、毎日スキンシップを取ることで、子育てにおいてはコミュニケーションの大きなウェイトを占めたと僕は考えています。

いつか息子が「パパとお風呂に入るのはもう嫌だ」と言うまでは一緒に入りたいと思っています。もし、嫌だと言われたら。その時はショックを受けず素直に我が子の成長をよろこべるように準備しておきたいと思います。

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。

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ABOUT ME
身体障害者で3人の父親。身体にハンディキャップを抱えながらも人生も子育てもどっちも楽しみたいとトライ中、しかしどちらも大きな壁ばかり、乗り越えられない壁はないと信じて頑張る44歳のパパ。