私は全盲の視覚障碍者です。今回は、全盲の私がよく使っているSNSをご紹介しながら、視覚障碍者とSNSについて書いてまいります。
はじめに
SNSは多くの人達にとって身近な存在です。友人や家族、趣味のつながりや仕事関係など、個人間の連絡でもSNSを使っている方は多いのではないでしょうか。
それは私のように目の見えない視覚障碍者も例外ではありません。
以前、『全盲の視覚障害者はどうやってスマートフォンを使うのか。』という原稿を書いたことがありますが、私はスクリーンリーダーと呼ばれる音声読み上げソフトを使いながら日常的にスマートフォンを利用しています。
今回は、全盲の私がよく使っているSNSをご紹介しながら、視覚障碍者とSNSについて書いてまいります。
私がよく使用するSNS
私が使用しているSNSは、Twitter、Facebook、LINE、noteの4つです。この4つは、情報を得るだけではなく、自分が発信することもあります。
YouTubeも利用しますが鑑賞専門で発信することはないので、今回は除外させてもらっています。
私が「どのSNSを使うか」を考えるときに重要になってくるのが、読み上げソフトであるスクリーンリーダーで操作をしやすいかどうかです。
最近はスクリーンリーダーに対応しているアプリがほとんどではありますが、アップデートによってその使いやすさが変わってきます。パソコン版とスマホ版で操作しやすさが異なる場合もあります。
ここからはあくまでも私の基準になりますが、視覚障碍者の観点から、各種SNSの使いやすい点とそうでない点について書いてまいります。
Twitterは、パソコン版のアプリが使いやすい
Twitterの使いやすい点は、画像説明機能がついている点です。あまり知られていないかもしれませんが、Twitterは画像を投稿するときに、画像の下に「説明を追加」のボタンがあります。
画像に説明文を入れてもらえると、視覚障碍者、特に私のような全盲のユーザーがどのような画像なのか想像し、理解することができます。この機能を活用する方が増えてくださると嬉しいです。
ただ、一つ気になる点もあります。スマートフォン版のTwitterで引用ツイートの投稿をスクリーンリーダーで聴くときは、先に元の投稿から読み上げるので、追加投稿に差し掛かるまで時間がかかることがあります。そのとき少しストレスを感じることがあります。
Facebookは、スマートフォンで閲覧して、パソコンで投稿する
Facebookの使いやすい点は、スマートフォン版だと、表示するコンテンツを変えられるところです。メニューのフィードをクリックすると、全て、お気に入り、友達、グループ、ページで別々に表示させることができるので、そのときの気分によって切り替えながら閲覧するようにしています。このフィードの切り替えもスクリーンリーダーで操作できます。
Facebookは、閲覧のみする場合はスマートフォンを利用しています。投稿をする場合は、長文を書くことがありますので、パソコンで行うようにしています。
LINEは個人間でのやりとりのみ
LINEの使いやすい点は、トークのやりとりや通話を行うまでの操作がスクリーンリーダーで操作することができるところです。
LINEは動画やテキストを投稿することもできますが、私の場合は主に個人間のやり取りで使っています。自分のみに投稿する機能はメモ代わりとして便利です。
ただ、スタンプとスクリーンリーダーの相性はあまりよくありません。スクリーンリーダーではそのまま「スタンプ」と読み上げます。音声付きスタンプは用意されていますが、探すのが大変です。
noteは投稿も閲覧も行いやすい
noteの使いやすい点は、スクリーンリーダーでの読み上げと操作性が大変よく作られているということです。
たとえば、スマートフォン版ではホームの画面で全てからフォロー中に切り替える所をタップすると、フォロー中に切り替えましたと読み上げがあります。パソコン版では、折り畳みになっているメニューで、Enterキーを押し、下矢印キーを押して行くとすぐに開いたメニューを確認することができます。
私はどちらかと言えば、パソコン版の方が操作をしやすいと感じています。
SNSでの文字入力のしやすさについて
私はSNSを利用する際、スマートフォンとパソコンを使い分けています。閲覧のみをする場合はスマートフォン、文章などを投稿する場合はパソコンを使用することが多いです。その理由としては、スマートフォンとパソコンでは文字の入力のしやすさが変わってくることが挙げられます。
スマートフォン版で文字を入力する場合は、一つずつキーをタップしていかなくてはなりませんが、パソコンでしたら物理キーでタッチタイピングで一気に書けるので、パソコン版の方が投稿しやすいのです。
視覚障碍者の中には、スマートフォンにブルートゥースキーボードを接続して文字を入力している人もおられます。
私の周りの視覚障碍者の間で、よく使われているSNS
私の周りの視覚障碍者の間で、よく使われているSNSは、Twitter、Facebook、LINEです。
しかし、全盲の人でも、Instagramで写真を投稿したり、YouTubeに動画を投稿したりしているユーザーもいます。
大事なことはスクリーンリーダーでの操作性がよいかどうかです。
最近では、画像の説明文を追加する機能が搭載されているSNSツールも存在します。さらには、ユーザーの声で、配信出来る機能を搭載したツールや、それに機能に特化したツールもあり、視覚障碍者でも、そのまま肉声で内容を聴けることもあり、比較的手軽に利用することが出来ます。
まとめ
私の使っているSNSをご紹介しながら、視覚障碍者にとって使いやすい点とそうでない点について述べさせてもらいました。
視覚障碍者が利用する上で重要なのは、スクリーンリーダーで快適に使えることと、ロービジョンの方にとって見えやすく使いやすいことになります。
これからはより多くのユーザーが、スマートフォンやパソコンなどを含む多くの利用環境から、webコンテンツを快適に使えるようになるためにも、当事者の意見を取り入れた開発が行われていくように願っております。