世の中には要領良くテキパキと物事を進められる人が大勢いらっしゃいます。一方、「パッとしない」「ノロマ」などと揶揄されてしまうような人も一定数おり、なかには想像以上の劣等感を抱きながら生活している方も少なくありません。僕自身、要領の悪いADHDなので、「やらないこと」を決めて自身のメンタルを守るようにしています。
要領が悪いと感じる主な原因
僕は周りの人と比べて「どうしてこんなに要領が悪いんだろう…」と悩んでしまうことが多々あります。この理由として、主に以下の2つが考えられます。
- 環境
- ADHDの特性
ー 環境
一般的に、要領の悪さは「相対的」に見て決まるケースが多いです。たとえば、周りが「経験者」「IQが高い人」ばかりな場合、自分では一生懸命やっていたとしても、「作業のペースが遅い」「テストの点数が低い」と評価されてしまうことが少なくありません。
一方、「初心者の人」だけが集まるコミュニティであれば、たとえ自分にとって不得意な作業だったとしても、自分の要領の悪さが際立つことはほぼありません。現在置かれている環境によって「要領が良い人・悪い人」という判断がなされることが多いので、才能や能力不足で悩んでいる方は覚えておくと良いでしょう。
ー ADHDの特性
ADHDの特性が悪い方向に発揮された場合、高い確率で要領の悪さを感じることになります。たとえば、荷物の仕分けをやるように求められたとき、自分の「不器用さ」によって作業が遅れた場合などです。特に複数人での作業では、誰か一人のミスがチーム全体の遅れにつながるので、要領の悪さに加えて「恥の感情」を覚えることも少なくありません。
ADHDの僕が「やりたくない」と思うこと・避けたいこと
先述したように、僕は元々要領の悪い人間で、これまで多くの失敗を繰り返してきました。そのため、以下のようなことはなるべく避けるようにしています。
- マルチタスクが求められる仕事
- 空間把握能力を使うスポーツ
- 時間厳守が求められるタスク
ー マルチタスクが求められる仕事
大変悲しい事実ですが、世の中にある多くの仕事は「マルチタスク」が求められます。電話対応がメインとなるコールセンター、口頭での指示が当たり前に行われている飲食店のスタッフは、そもそも最初から候補から外れているので問題ありません。しかし、複数案件の同時進行、一般的な電話連絡などはどの企業でも普通に求められるため、僕は以下のような工夫をして乗り切っています。
- よく使うコミュニケーションツール(ChatworkやOutlook)などにやるべきタスクを書き込んでいく
- 電話口の相手が怒らない程度に確認しながら話を進める
ChatworkやOutlookに必要な情報を集約させることで、「やるべきタスクそのものを失念するリスク」を最小限に抑えられます。また、一般的な引き継ぎの連絡であれば、電話をかけた相手方もそれほど切羽詰まっている状況ではないはずので、細かく復唱・確認をしてもそこまで強く怒るようなことはないでしょう。マルチタスクをシングルタスクに分解することでADHDによる失敗を回避できるので、お困りの方は一度試してみてください。
ー 空間把握能力を使うスポーツ
僕は学生のころ、野球部やテニス部といった運動部に所属していました。一応、レギュラーとして試合に出れるほどの実力をつけることができましたが、これがサッカーやバスケといった「一瞬の判断力・空間把握能力が求められるスポーツ」だったらすぐに挫折していたと思います。
【サッカー・バスケの特徴】
- 攻守が頻繁に切り替わり、一瞬の判断を求められることが多い
- 基本的にコンタクトスポーツなので、誰がどこにいるかを常に把握しなければならない
元々僕は空間把握把握能力が低いほか、その場の一瞬で状況をつかみ最適な行動を取ることが苦手です。「どれくらい動けば相手のブロックを掻い潜ってゴールまでいけるのか」がわからないので、相手のDFにぶつかりボールを取られてしまうことが多くあります。
またボールが回ってきた際、「パスをするのか」「ドリブルで切り込んでいくのか」といった判断にも時間がかかります。そのため、「止まるな!」「早く動け!」などとチームメイトに怒られてしまうことが少なくないので、「サッカーやバスケは極力やらない…」と決めているのです。
ー 時間厳守のタスク
仕事では基本的に「時間厳守」がモットーです。そのため、僕は就業時間の5分前にはデスクに座り、仕事を始める準備をしています。また、お客様とのアポがあれば、約束の時刻の10分前には準備を整えて待機するようにしています。しかし、このような行動は以下のような工夫をしないと実現させることができません。
- 仕事の前日は夜更かしをせず、なるべく23〜0時には床に就くようにする
- 約束の時刻に間に合うよう、専用のアプリで現地までのルートを何度も確認する
仕事の面では危機意識が働くため、大きなトラブルを起こすことはほとんどありません。しかし、5〜10分程度の遅刻といったミスはたびたびやらかしているため、「いつか大きな失態をしてしまうのでは?」などと苦慮することが多くあります。このような背景があることから、僕は電車・バスの運転手の方を心から尊敬しています。
まとめ
要領の悪さが自身のコンプレックスとなっている方は、「できれば周りに知られたくない」「自分の得意なことで周りに貢献したい」という気持ちが強い傾向にあります。「苦手なことを避けて得意分野で勝負できる環境を選ぶ」「苦手なことが目立たないように何らかの工夫をする」のも立派な戦略のひとつなので、要領の悪さにお悩みの方は、一度現在の状況を見直し「自分の得意分野は何なのか?」を探すことから始めてみてはいかがでしょうか。