私は境界知能、発達障害、適応障害やうつ病を持ちながら、フリーランスとしてYouTubeやSNSでの情報発信、電子書籍の販売をしています。今回は境界知能の特徴を3つと、これまで私がどのような困りごとを抱えてきたかについてお伝えしていきます。
境界知能ってそもそも何?
初めまして。境界知能YouTuberとして活動しているなんばさんです。私は境界知能、発達障害、適応障害やうつ病を持っており、現在はフリーランスとして、YouTubeやSNSでの情報発信や電子書籍の販売などをしています。
早速ですが、「境界知能」という概念を知っているでしょうか。もしかしたら、知らないという人も多いかもしれません。記念すべき1回目の投稿は、「境界知能ってそもそも何?」という方に向けて、以下の内容について解説をしていきます。
- 境界知能とは何か
- 境界知能の3つの特徴
- 境界知能当事者の3つの苦しみ
この記事が境界知能について知るきっかけとなれば嬉しい限りです。
境界知能とは何か
境界知能とは、知能指数(IQ)が70〜84の間にある人たちを指します。IQが85〜115の人たちと、知的障害とされるIQ70以下の人たちの間、境目にいることから、境界知能や知的障害グレーゾーンと呼ばれることもあります。
日本人の14%が該当していて、全国に約1400万人程度いると言われています。35人のクラスに換算すると、5人に1人は該当する計算になります。
境界知能の3つの特徴
ここでは、境界知能の3つの特徴を紹介します。全てが当てはまっていなくても、境界知能に該当することもあるため、あくまでも参考程度にとどめておいてください。
- 認知機能の弱さ
- 身体面の不器用さ
- コミュニケーションの能力の低さ
それぞれ解説していきます。
なお、宮口幸治さん著の『ケーキの切れない非行少年』を参照しています。
認知機能の弱さ
1つ目は認知機能の弱さです。
認知機能とは物事を認知する力のことです。たとえば、人は「リンゴ」をおいしい果物と認知できているからこそ、安心して食べられますよね。しかし、認知機能が弱いと「リンゴ」を認知できないか、「リンゴはそもそも食べられない」というように誤って認知することがあります。
私は認知機能が弱いので、常識が通じないことがあります。目に見えないルールを認識するのが困難なためです。私の場合は、仕事上で先輩の立場の方にも素っ気ない態度を取り、何度か怒られたことがあります。
その後、少しずつ改善し、今ではこのことについては解消されつつあるように感じています。
しかし、気づいてから改善に至るまで、かなりの時間を費やしました。また意識的な行動を繰り返しても改善されないこともあり、本人達は悩んでいます。
身体面の不器用さ
2つ目は、身体面の不器用さです。
境界知能当事者は、協調性発達運動障害(DCD)などの障害を持つ可能性もあります。DCDとは、手先が不器用で、自分ではコントロールが難しい障害です。たとえば丸い円を鉛筆等で書いた紙を渡しても、線に沿って切れないという困りごとが起きることも。
私も、協調性発達運動障害(DCD)のような困難を覚えることがあります。たとえば、バスケットボールでドリブルをするとき、走りながらボールを動かしますが、私の場合、同時に2つのことができません。頭で考えるとぎこちなく、感覚もわからず非常に困ったことを覚えています。
コミュニケーション能力の弱さ
3つ目は、コミュニケーション能力の弱さです。
境界知能を持っていると、コミュニケーションをとることに困難を覚える傾向があります。相手の表情などから、感情や思考を読み解くことが難しいからです。空気の読めない発言をするなど、周りがヒヤヒヤすることもあります。
私の場合、雑談がとくに苦手です。他愛もない話や、表向きをつくろって話しを合わせることにネガティブな感情を抱くからです。そもそも、話に興味がないと耳からの情報が音としてしか認識できず、理解に到達しません。
境界知能当事者の苦しみ
境界知能によって、感じる苦しみは以下の3つです。
- 境界知能と気づくまでに時間がかかる
- 周りからの理解が得られない
- 福祉制度に適用されにくい
境界知能と気づくまでに時間がかかる
本人でさえ、認知力の低さなどが原因となり、境界知能と気づくまで時間がかかります。私は28年目にして、精神科医の診断によって、ようやく境界知能と気づきました。それまで、原因不明の生きづらさに悩んでいたのです。
境界知能と気づくまで、「周りと比べてできない自分」が認められず、自分を責めることしかできませんでした。他の人が少しの努力で達成できることも、私は倍以上の努力が必要だったからです。
境界知能と気づいてからは、生きづらさの根源がわかり、改善を図れるようになりました。今は、できることとできないことを判断し、できないことは人やツールに頼り、無理をしないで生きています。
周りからの理解が得られない
境界知能は一目ではわからないことから、周りから理解されにくい傾向にあります。健常者に比べて認知機能が低いことは事実かもしれません。しかし、認知機能の低さによる、不自由さは目に見えません。「あの人ちょっと変わっているね」などと、人格の問題と捉えられることもあります。
私の場合、言語化能力が乏しく、自分が感じている困難を上手く相手に伝えられません。そのため、相手に誤解されることもしばしば。境界知能の認知の低さと、本人から発するメッセージが相手には重大だと捉えられずに、理解が得づらいのだと感じます。
福祉制度に適用されにくい
境界知能という単体の特性だけでは、福祉制度が適用されにくいのが現状でしょう。私は、境界知能の他に、発達障害やうつ・適応障害を持っています。そのため、運よく福祉制度の利用が可能です。しかし、世の中には境界知能のみの特性から、福祉制度が受けられないと悩む人が大勢います。
国から認定されれば、さまざまな待遇が受けられますし、周りからの理解も得られやすくなります。今後は当事者の発信活動などで、制度が変わっていくことを願うばかりです。
まとめ:境界知能が生きやすい世の中を願う
私は、境界知能の生きづらさを広めて、生きやすい世界になることを願います。28年間、原因不明の生きづらさに悩んでいた経験からです。情報発信をしている立場上、実際に生きづらいという声を頂くこともあります。
もちろん本人の努力しだいで、改善されることもあるでしょう。しかし、人一倍努力をしてもできないことがありすぎるのです。本人は無力感を覚え、自信をなくす一方でしょう。生きづらさに悩む方や周囲の方々が少しでも生きやすくなるように、私はこれからも発信していきます。