発達障害の人にはフリーランスが合っているのか?私が経験したメリット・デメリット

フリーランスの看板を持つ笑顔のキャラクター。発達障害者がフリーランスとして働くことのメリットとデメリットに関する記事。

私は会社員として事務職で働いているときに違和感を覚えて病院に行ったところ、ADHDの診断を受けました。今回は、ADHDの私がフリーランスの働き方を経験した中で感じたメリット・デメリットについてお話したいと思います。

発達障害の人にとっての最適な働き方とは?

私は会社員として事務職で働いているときに違和感を覚えて病院に行ったところ、ADHDの診断を受けました。

その後、デザイナーに転向してからは、正社員として働きつつ、業務委託のお仕事もいただくようになりました。

現在では業務委託4割、会社6割くらいの比率で仕事をしており、半フリーランスと言える状態です。(もちろん、社会保険など各種福利厚生については会社から受ける恩恵が非常に大きいものですが。)

発達障害の人の働き方についてよく聞くのが「会社員よりもフリーランスで働く方が向いている」というものですが、果たして本当にそうなのでしょうか?

今回は、ADHDの私がフリーランスの働き方を経験した中で感じたメリット・デメリットについてお話したいと思います。

独立してみたい、けど…

フリーランスの看板を持つ笑顔のキャラクター。発達障害者がフリーランスとして働くことのメリットとデメリットに関する記事。

デザイナーを始めた頃、自分の中に少し「どこかのタイミングで独立してみたい」という気持ちがありました。

ちょうどそのタイミングで、業務委託でデザインのお仕事をいただけることになり、少しずつ会社外の仕事が増えていったのです。現在はデザイナー・ライター・イラストレーターとして業務委託をいただいていくつかの仕事を行っています。

独立に向けては、まず、会社の外で仕事をしてみることで独立へのイメージを掴もうと考えました。どうやって仕事を得るのか?どんなものが必要になるのか?自分がそもそも向いているのか?など、実際にやってみることでしか分からない部分も多いため、これはかなり重要なステップだと思います。

業務受託を始めたことで分かったことは、「どうやら私は100%フリーランスで活動するのが向いていないかもしれない」ということです。

フリーランスという働き方にはメリットも多くありますが、かなり大変そうだぞ…ということが分かってきたのです。

私が感じたフリーランスのメリット

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①面白そうな仕事を自分で取りに行くことができる

とにかくフリーランス的な働き方だと、自分のやってみたい仕事にどんどん挑戦できるため、飽きることがありません。

何かをやってみたいと思ったらその方面に自分で営業をかけてみる、スキルを上げて新しい分野にアタックしてみる、など会社の中ではなかなか実現できなかった自分の力を発揮できる面白さがあります。

いろいろなところに興味が移っていく障害特性を持った私のような人間にはとても魅力的です。

「会社だと特定のジャンルの仕事しかできない」という悩みを持った方には大きなメリットになりますね。

②時間の使い方の自由度が高い

時間や場所に縛られないという点は、通勤がストレスな方や、朝が苦手な方などにはとても良いと思います。

私も夜の方が仕事をする気持ちがのりやすく、作業時間を縛られないことは大きなメリットです。

私の思うフリーランスのデメリット

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①自分で決めることが増える

会社に属しているときにも仕事の締切を管理する必要はありますが、フリーランスになると自分で決められる範囲がよくも悪くも広くなります。

会社員のデザイナーとして働いていると、顧客とのやり取りは営業の方が担当してくれたりしますが、フリーランスの場合は自分でお客さんと直接やり取りをして決定していくことになります。

会社員として仕事をしている時よりも、コミュニケーションが大切になるというのは大変な部分だな、と感じました。

②スケジュール管理をうまくしないと仕事が重なる時期を作ってしまう

会社に所属している場合には、職場全体でどのくらいの仕事を抱えているのかや、進捗状況の管理をしてくれる上司がいたりします。

個人で請け負う場合には、この時期にどれだけの仕事が入ってくるのか、自分が今どれくらいの案件を抱えているか、というのをかなり綿密にスケジューリングしておかないと、複数の締め切りが重なっててんやわんやになる恐れがあります。

目の前にあるものだけをとりあえずやってしまいたいタイプの私にとって、先々のことをスケジュールを切って管理するのは中々の大仕事でした。

逆に、スケジュールに余裕を持たせすぎると、当然ですが収入が減ります。これをいい塩梅にする、というのが非常に難しいところです。

③ほぼ確実に事務作業が発生する(めんどくさい手続きとかもある)

私が思う最も大きなデメリットは、ほぼ確実に発生する事務作業です。

そもそも、事務が向いていないからデザイナーに転向したのに、事務作業やめんどくさい手続きがちょこちょこ発生することに焦りを感じました。

この半フリーランススタイルも1年以上になりますが、恥ずかしながら、いまだに2か月に1回は請求書に何かしらのミスがあります。

また、確定申告が必要だと言われた時には、あまりにもやりたくないために何度も「確定申告 必要ない」「確定申告 罰則」などの検索ワードで調べてしまったほどです。

しかも、現在は会社員もしているので社会保険や住民税は会社で手続きしてくれますが、完全にフリーランスになった場合には全て自分で支払うことになります。自分で管理するようになったら、絶対に払い忘れる自信があるため、正直怖くて仕方ありません。

聞く人によっては「そんなに大変じゃないよ~」と言われるかもしれませんが、「書類周りの管理・提出難しい問題」を抱えている人についてはきちんと人に相談したり、滞りなく行われる仕組みを作っておく必要があると思います。

まとめ

約1年半の間、独立を目指して業務受託を行ってきましたが、ここまでの結論としては「しばらくの間は会社員も続けたいな…」というものです。

フリーランスは自分の動き方次第で比較的自由に楽しく飽きない仕事ができますが、お金の管理周りなどの、どうしても私には向いていないと思うこともやらざるを得ないのです。

今フリーランスになることを検討されている方は、ぜひメリットとデメリットについてどちらが自分にとって大きなものかを比較してみてはいかがでしょうか。

関連情報

本コラムを読んでくださった株式会社キズキ様からこちらの参考記事をご紹介いただきましたので関連記事として追記しました(編集部|注)

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ABOUT ME
1991年生まれ。下町暮らしのフリーライター・イラストレーター。出産後ADHDの診断を受ける。様々な立場の生きづらさを考えていきたい人。