【発達障がい・ADHD編】マンガでわかる!採用担当者が面接で気をつけたいポイント

こんにちは、パラちゃんねるライターチームです。

近年、ADHDという障がいが注目を集めることが増えてきました。

日本語では注意欠如多動性障がいなどと呼ばれるこの障がいは、多くの当事者が困難を抱えているものではありますが、目に見えない障がいであるために、まだまだ理解や支援が広がっていない課題が残っています。

企業として、障がい者雇用などの重要性も高まってきていますが、ADHDをはじめとした目に見えない障がいにどう対応すればいいのかがわからず悩んでいる採用担当や人事担当の方も多いのではないでしょうか?

そこで今回は、ADHD当事者との採用面接を行う際に抑えておきたいポイントをご紹介します。
面接前の参考にしていただけるとうれしいです!

ADHDとは

最近耳にすることも増えてきたADHDですが、そもそもどんな意味があるのでしょうか?まずは、ADHDやその特性について解説します。

ADHDの定義を示すカラフルなブロック

ADHDとは(Attention-Deficit / Hyperactivity Disorder)とは、日本語では注意欠如多動性障がいとよばれる発達障がいのうちの1つで、不注意、落ちつきのなさ、衝動性などの特性があります(参考:国立精神・神経医療センター)。

ADHDとあわせて、発達障がいという言葉も聞くことが増えてきました。

ADHDの他に、ASD(自閉症スペクトラム障害)、学習障がいなどの障がいの総称が発達障がいとなります。

発達障がい者支援法では、「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障がい、学習障がい、注意欠如多動性障がいその他これに類する脳機能の障がいであってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるもの」と定義されています(参考:文部科学省)。

ADHDの概念を示すイラスト

従来、ADHDは子どもの障がいというイメージが持たれてきましたが、近年は「大人の発達障がい」の存在が少しずつ知られるようになってきました。

具体的には、

  • 不注意→ミスが多い、集中力がない
  • 多動性→じっとしてられない
  • 衝動性→思いついたらすぐに行動に移す

など様々な特性があり、当事者によって特性の種類や度合いなどは様々です。たとえば、不注意の傾向が強い人もいれば、衝動性の傾向が強い人、すべてがまんべんなくある人などがいます。

一見「まじめにやっていないだけ」などと勘違いされてしまうことも多いADHDですが、発達障がいに対する正しい理解をもとに、企業側が特性に対して適切で柔軟な配慮を行うことで、当事者も周囲の人も働きやすい環境を作ることができます。

ではさっそく、ADHD当事者との採用面接のときに、採用担当の方が気をつけるべきポイントを解説していきます!

まずはマンガでポイントを解説します。

マンガでポイントを予習

ここからは企業の採用担当の方が、ADHD当事者である求職者との採用面接を行う際に気をつけたいポイントをご紹介していきますが、まずはマンガでポイントをピックアップしてご紹介します。

それぞれのポイントについては、このあとの章でさらに詳しく解説していきますが、まずはイメージを掴んでもらえるとうれしいです。

また、面接前にはもう一度このマンガを読んで復習してみてください!

ADHD当事者の面接前の注意点を説明するマンガ
ADHD当事者の面接後の注意点を説明するマンガ

ADHD当事者との面接で採用担当が気をつけたいこと:面接前編

まずは面接の前段階で気をつけるべきポイントはなんなのでしょうか?

①曖昧な指定をしない:服装、持ち物

ADHDの特性には、「曖昧な指示を受け取りづらい」というものがあります。「なんとなく」で伝わると思って言ったことが混乱を招くケースも多くあるのです。

たとえば、面接時の服装指定でよくある「オフィスカジュアル」というのは、ボーダーラインが曖昧な指示の1つです。

面接のための服装を選んでいる人

もしも面接時の服装に指定がある場合は

「襟付きジャケットを着用してきてください」

「スーツを着用してきてください」

など具体的な指示があると、当事者は安心して用意をすることができます。

面接時の服装に指定がない場合は、

「普段どおりの服装で構いません」

「私服で構いません」

など、明確に記載するようにしましょう。

また「私服OK」の中にも「半袖短パンはNG」など細かいルールが暗黙の了解としてある場合には、それらも明確に記載をするようにしましょう。


他にも、必要な持ち物も事前に伝えると、不安なく用意できます。

「面接時には、証明写真付きの履歴書・ボールペンをお持ちください」

などと、具体的にリストアップして伝えるようにしてください。

②会社についたときどうすればいいのか具体的に伝える

いざ面接を行う場所に到着したとき、事前に与えられた情報が「◯◯時にオフィスに来てください」だけだと、ADHD当事者はどう行動すればいいのかがわからず、混乱してしまうケースが多くあります。

「ロビーのところで担当者が来るまでお待ちください」

「到着したら担当の◯◯に電話をしてください」

「受付でお名前を伝えてください」

など具体的に説明をしておきましょう。

名刺を交換する二人

最近は、タブレット端末で入館受付をする企業も増えてきました。ADHD当事者以外であっても、慣れていないと混乱してしまうケースが多くあります。

スムーズに面接を始められるように、入館方法/受付方法は丁寧に共有しておくことをおすすめします。

以上が、面接前に気をつけるべきポイントでした。次に、実際に面接が始まったときに気をつけるべきポイントをご紹介します。

ADHD当事者との面接で採用担当が気をつけたいこと:面接中編

いざ、ADHD当事者との採用面接を迎えたとき、どんなことに気をつければいいでしょうか。配慮するべきポイントがわからず、不安な採用担当の方は、ぜひ参考にしてみてください。

面接で履歴書を確認する採用担当者

①質問は1つずつ、具体的に!

面接といえば、採用担当者は応募者に質問をしますよね。質問の仕方に気をつけるだけで、ADHD当事者も安心して答えられます。

ADHD当事者へ質問するときのポイントは

  • 複数のテーマの質問を同時にしない
  • 曖昧な質問をさけ、なるべく具体的に質問する

です。順番に解説していきます。

 ー面接で複数のテーマの質問を同時にしない!

まず「複数のテーマの質問を同時にしない」が大切な理由には、ADHDの特性の1つとして、「マルチタスクが苦手・忘れっぽい」というものがあげられます。

To Doリスト

複数の質問を同時にされてしまうと、最初の質問に答えている間に次の質問内容を忘れてしまうケースがあるのです。

たとえば…

■BAD事例ーーー
採用担当者「この会社でがんばりたいことと、キャリアプランを教えて下さい」

■GOOD事例ーーー
採用担当者「この会社でがんばりたいことはなんですか?」

応募者「私ががんばりたいことは、…」

採用担当者「今後のキャリアプランを教えて下さい」

応募者「今後、私は…」

このように、1つひとつ順序よく質問することを意識してみましょう。

ー 面接で曖昧な質問をさけ、なるべく具体的に質問する

「曖昧な質問をさけ、なるべく具体的に質問する」というのは、一般的にはASD(自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障がい)の特性「曖昧な指示や微妙なニュアンスを文章から読み取ることを苦手とする」という要因が関係しています。

自閉症スペクトラム障害を示すサインとカラフルな鉛筆

ASD(自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障がい)とは、発達障がいのうちの1つで、「社会的なコミュニケーションや他の人とのやりとりが上手く出来ない、興味や活動が偏る(国立精神・神経医療センターより)」といった特性があります。

ADHD当事者のなかにはASDの特性も併せ持った方も多くいるので、ぜひ意識してみてください。

たとえば…

■BAD事例ーーー
採用担当者「あなた自身について教えて下さい」

■GOOD事例ーーー
採用担当者「趣味や好きなことはなんですか?」「リフレッシュはどのようにしていますか?」「自分の強みはなんだと思いますか?」


ただでさえ面接という緊張感の強い場面、面接する相手がADHD当事者かどうかに関わらず、答えやすい質問と空気を作ることで、相手の人柄を理解することができますよね。

また日々の業務においても、ミスコミュニケーションを避けるために具体的で簡潔な言葉がけを意識することは大切です。

次に、質問の仕方とあわせて、質問したことに対する答えの聞き方のポイントもご紹介します。

②応募者が面接官の質問に答えているあいだは言葉を遮らない

応募者が面接官の質問に答えているあいだに、言葉を遮るように次の質問をしたり、回答を急かすような言葉掛けをしたりすることは避けましょう。

面接でのディスカッションの様子

ADHD当事者にとって、質問に答えるというのは「質問を聞いて理解する→考える→答える」というマルチタスクでもあります。

すぐに言葉としてうまく回答することが難しい場合もあるかもしれません。面接という緊張した空間ではなおさらハードルが高くなります。

ADHD当事者かどうかに関わらず、回答を急かされるような態度をとられると、萎縮してしまいますよね。

部下や同僚の言葉を傾聴するという姿勢も、普段の業務でも大切なポイントです。ぜひ、面接のときから意識してみてください。

③必要な配慮や特性について聞いておく

一言でADHDといっても、その特性は人それぞれ。人によって特性が出るポイントは様々です。だからこそ、一緒に働く上でどのような配慮が必要かをあらかじめ確認しておけるとお互いに安心感を持つことができます。

発達障がい・ADHDの特性に対する配慮の例を示した図表
特性に対する配慮の例

上記の表のように、ADHD当事者には人によって様々な特性があります。

  • 人がたくさんいるところでは集中が難しい
  • 話の流れがつかめないときがある
  • 話を聞くのと当時にメモを取れない

当事者によってどのような特性を持っているかは異なるので、応募者が自身の特性に関して、これまでどのような対策をとってきたかも聞いておけると、実際に業務に移るときにスムーズかもしれません。

ここで注意しておきたいのは、「障がいについて根掘り葉掘り聞く」という態度をとってしまうことです。

もしそのような態度だと、応募者にとっては「特性について正直に話すことが評価につながるのでは…?」と不安に感じ、スムーズなコミュニケーションが取れない可能性があります。

「あくまで、お互いが働きやすい環境を整えていくために」というポイントを伝えられるとよいでしょう。

以上が、面接時に採用担当者が注意したいポイントでした。最後に、面接後の注意ポイントを説明します。

ADHD当事者との面接で採用担当が気をつけたいこと:面接後編

面接終了時に、口頭で「◯◯日までに結果をお送りします」や「あとの必要な手続きは…」と伝えるケースもあるかと思いますが、こうした必要な情報は、あわせてメールでも共有するようにしましょう!

ノートと鉛筆

今後の流れを口頭でだけ説明してしまうと、うまく伝えられない場合や誤解が生まれてしまう可能性があります。
もしくはメモの時間を作って、必要な情報を確実に伝えるのでもOKです。

まとめ

以上、ADHD当事者との面接で採用担当が気をつけたいことを

  •  ADHDとは
  • マンガでポイントを復習
  • ADHD当事者との面接で採用担当が気をつけたいこと:面接前編
  • ADHD当事者との面接で採用担当が気をつけたいこと:面接中編
  • ADHD当事者との面接で採用担当が気をつけたいこと:面接後編
  • まとめ

にわけてご説明してきました。

この記事で紹介したポイントは、ADHD当事者以外にとってもスムーズな面接やコミュニケーションを行う上で大切なものばかりです。ADHD当事者との面接以外の状況でも、採用担当者にはぜひ知っておいてほしいと思います。

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