難病カフェとは?病名にとらわれずに気軽に集まれる場所

木製のテーブルに置かれたラテアートが施されたカフェラテの上からの眺め。

こんにちは、もーこと申します。
都内でWeb制作会社の役員をしております。
2年前に突然、高熱と皮疹が続き、指定難病の成人発症スチル病(成人スチル病)と診断されました。
1ヶ月ほどの入院期間を経て、治療を行いながら仕事復帰し現在は寛解となりました。
治療中に「難病カフェ」に出会い、現在はスタッフとしても活動するようになりました。今回は難病カフェとその活動について紹介していきます。

難病カフェとは?

皆さんは「難病カフェ」をご存知でしょうか?
難病カフェとは難病の当事者やその家族が、病名にとらわれずに気軽に集い、情報交換や悩みを語り合う場所のことです。
※開催される難病カフェによって医療従事者や支援者の方が入ることもあります。

実際にカフェに行くということではなく、友達とカフェで会って話すようにおしゃべりの時間を楽しもう、という意味が込められています。
(もちろん、実際に店舗などで開催することもあります)

また、難病カフェは特定の場所を指しているのではなく、全国各地で開催されており主催している団体もNPO法人や任意団体など様々です。
市区町村が窓口となってWebサイトで参加者を募集をしているところもあります。
開催の形式も様々でリアルでもオンラインでも開催されていますが、開催する日と時間が決まっているため事前に申し込みをしてから参加する所が多いと思います。

なぜ参加しようと思ったか

難病カフェを知ったのはSNSで自分の難病について調べている時でした。
当時は治療を始めたばかりで不安も大きく、同じような病気の方の体験談や難病を持つ人がどうしたら働き続けられるのか、ということを毎日のように検索していました。

とにかく情報が欲しくて難病関連の情報発信をしている方をフォローするうちに難病カフェの募集を見つけ、参加してみたいと思ったのがきっかけです。
体調面で外出を控えていた時でもあり、オンラインなら参加できると思って申し込みました。

ビデオ会議中のノートパソコンと、隣に置かれた青いマグカップ。

初めて参加した時の思い出とカフェの流れ

先ほど書いたように、気軽にカフェ感覚で参加できる場所ではありますが、初めて参加した時はかなり緊張しました。
最初に自己紹介タイムがあるのですが、自分の病気を初対面の方にどのように話したらよいかわからず、他の方の自己紹介を聞きながらメモを取り、カンペを作って話していました。
その後、参加者がグループに分かれてテーマに沿った話をするのですが、そこでは3、4人の少人数で、ぐっと話しやすい雰囲気になり緊張が解けていった感じがありました。
各グループにスタッフの方がファシリテーターとなって参加者に話を振ってもらえたことも安心できました。

ここで、難病カフェの大まかな流れを紹介します。

1.カフェの趣旨説明
2.自己紹介
3.グループに分かれテーマに沿って会話(テーマを変えて2〜3回繰り返す)
4.テーマで話した内容の振り返りやまとめ
5.フリートーク

全体を通して2〜3時間くらいかと思います(テーマの切り替わりに休憩が挟まれることが多いです)
この流れは全てのカフェに当てはまる訳ではないと思いますが、自己紹介→テーマトークの流れはどのカフェもだいたい一緒だと思います。

参加して良かったこと、自分の想いに気づいたこと

カフェに参加するうちに自己紹介をする機会が増え、自分の病気を上手く伝えられるようになってきた感覚がありました。
これはカフェの中だけでなく日常でも病気を説明する時に活かすことができたと思います。

さらに、同じような治療をしている方と同じ悩みを抱えていることを知って「私も!」と共感できることもあり、悩んでいることが自分だけではないと思えて少しほっとできるような気がしました。
参加される方は年代も病気も様々ですが、違う病気でも共感できることもたくさんあることに気づいたり、参加される方の自己紹介を聞く度に本当に色々な病気があるのだなと感じました。
そういった他の方の体験を聞くことで、自分の病気に対しても違った感情が出てきたり、今までと違った見え方が出来るようになったと思います。

また、カフェに参加して気づいたこともあります。
「病気から離れて自分の趣味を話そう」というテーマの時にうまく話せず、モヤモヤした気持ちになったことがありました。
今思い返すと、その時はまだ好きなことを楽しむ余裕がなかったのだと思います。
カフェに参加したことで、病気のことを聞いてほしかった、病気について知ってほしかったのだと気づくことができました。

カフェのテーブルでノートパソコンを使用して作業する人の手元、手前にはカップ。

参加者からスタッフになって見えてきたこと

参加したカフェのひとつに昨年からサポーターとしてお手伝いさせて頂くようになりました。
サポーターになって見えてきたことは、話しやすい、居心地が良いと感じてもらえる部分に、スタッフの方が多くの時間をかけているということでした。
例えばトークテーマについても、初めて参加する方、リピーターの方、年代、病気も様々な方がいるなかで、テーマに入る言葉のニュアンスやテーマの順番など細かい部分にも気を配りながら決めていきます。
テーマについては参加者の方からもリクエストをいただくことがあるのですが、きっと今こんなことに困っているのではないか?といただいたメッセージの背景を想像しながら決めることもあります。

今までのテーマには下記のような内容がありました。

・病気と付き合いながらの就労、働き方
・病気のことをどこまで、どう伝えるか
・医療従事者との関係

病気そのものというよりは、日常生活を送る上で感じたことや困りごとがテーマになることが多い印象ですが、特に働き方や病気の伝え方についてはよく出てくるテーマです。
これらのテーマは難病を抱える方にとって必ずといって良いほど直面する悩みだと感じています。

病気の伝え方は私自身も悩んだことの一つで、別の記事でもまとめています。

難病カフェという場所について思うこと

難病カフェに関わってみて、カフェに来る方の目的は自分の悩みを解決したいというよりも「話したい、話を聞きたい」と思って来ているのではないかと思います。

誰かに聞いてほしいことがあった時、同じような体験を持っているかもしれない人に話を聞いてもらえること。それだけで少し心が軽くなることもあります。
抱えているものを少し手放したり、ちょっと座って休憩するイメージ。
まさに疲れた時にカフェに入って少し休憩する感じだと思います。

今年からスタッフとして運営にも関わらせていただくようになり、難病カフェは参加する方にとってそれぞれの「場所」の役割があると感じるようになりました。
毎回参加者が違い、話すテーマも違いますが、同じ時間、同じ場所に集まった人たちとその時の会話を楽しむ場所です。

スタッフとして思うのは、参加いただいた方に少しでも「いいな」と感じてもらえて、また来ても良いかもと思ってもらえる場所のひとつになってほしいと思います。
そのためには、定期的にカフェを開催すること、また来られる場所として存在し続けることが大事だと思っています。

最後に、現在スタッフとして関わっているカフェを紹介させていただきます。
難病カフェ おむすび
https://nancafeomusubi.jimdofree.com/

3ヶ月に1回程度オンラインカフェを開催、XやInstagramでも活動を発信しています。

アピールしたい職歴・スキルだけで応募できる!
ABOUT ME
1982年生まれ。Webデザイン会社を経営。2021年、手足の発疹と39度の高熱が数週間続き、指定難病である成人スティル病と診断される。その後ステロイド服用による治療をしながら仕事復帰。 病気になったことで、ハンデがあっても働くことの選択肢を増やしたい。病気とつき合いながらも自由な働き方を選んでいきたいと強く想い活動を開始する。