ADHD当事者の僕が夢見る「優しい職場」とは

青空に浮かぶハート型の雲。

就職・転職活動をする際、「給料」「勤務地」「役職」などさまざまな条件をチェックしながら企業選びを進めていくのが一般的です。どの条件を優先するのかは人それぞれですが、僕は「職場環境」を重視して選ぶのがベターなのかと考えています。今回は「ADHD当事者の僕が夢見る優しい職場」について解説していきますので、気になる方は参考にしてみてください。

ADHDの方が「優しくない」と感じる職場の特徴

ADHDの診断を受けている方や、ADHDの自覚があるという方の場合、以下のような職場は窮屈に感じるかもしれません。

【主な特徴】
・評価の仕方が「減点方式」である
・フレックス勤務が認められていない

評価の仕方が「減点法」である

評価対象者のベースを「100」とし、その後にやらかしたミスやトラブルの質・回数に応じてマイナス点をつけていくのが「減点法」です。私を含むADHDの方は、定型発達者に比べてミスの回数が多い傾向にあります。度重なるミス・トラブルによって持ち点が減っていき、最終的に「ダメ社員」という評価をされてしまうことが少なくないのです。

【減点対象となる主な行動・ミス】
・遅刻
・ダブルブッキングによる時間調整
・書類作成における誤字脱字
・締切超過
・目標未達
・報告漏れ

僕は過去にすべて経験済みで、特に「目標未達」「誤字脱字」「報告漏れ」による叱責を受けることが多くありました。どんなにすごい成果をあげたとしても、過去にやらかしたミスで帳消しになってしまうのが「減点法」のつらいところです。

リモートワーク・フレックスが認められていない

コロナウイルスの影響により、リモートワーク・フレックスで働くことが一般的になりました。もちろん、業種・職種によって難しいことは多々ありますが、特にクリエイティブ職・フリーランスの場合、場所・時間を選ばずに働くのはもはや「常識」となっています。一方、リモートワーク・フレックスがOKにもかかわらず、それを認めない企業が一定数存在しています。

【リモートワーク・フレックスができるのをNGとする主な理由】
・経営者や幹部社員がITに疎い
・「出社が正義」という社風が根強く残っている

ADHDの方は、遅刻グセや集中力の維持、多動などで悩むことが少なくありませんが、このような悩みはリモートワーク・フレックスであればおおよそ解消されると僕は思っています。自分の働きやすい時間帯・環境で働けるのにできないという葛藤は、発達障害の方にとって大きなストレスになりかねません。

ノートパソコンとペンタブレットが置かれた作業スペースで仕事をする人。

ADHD当事者の僕が夢見る「優しい」職場の特徴

以下は、僕が夢見る「優しい職場」の特徴です。

【主な特徴】
・評価方法が「加点法」で、失敗に対して肯定的である
・「ミスを報告する→感謝の言葉を述べる」という企業風土がある

正直なところ、上記2つをクリアしている職場はそれほど多くありません。「こんな職場があれば良いな」と思いながら解説していますので、どうかお付き合いいただけますと幸いです。

評価方法が「加点法」かつ失敗に対して肯定的

先ほど挙げた「減点法」の反対が「加点法」です。これは、仕事におけるマイナス要素よりも、「企業にとってどんな良い影響を与えたか」を重視して従業員の処遇を決める評価方法とされています。

【企業にとってプラスに働く行動の例】
・長期間におよぶ目標達成
・業務効率化につながるツールの導入
・チームメンバーへのメンタルケア(離職者・求職者の人数減少につながる場合など)

ただし、いくら加点法だからといって、以下のような考えをするのは好ましくありません。

【加点法の注意ポイント】
・「ミスやトラブルを減らす努力をしなくても良い」ということではない
・結果が伴っていない行動をアピールするのは逆効果


「あまりにもミスやトラブルの回数が多い」「お客様に多大な迷惑をかけてしまった」という方の場合、いくらすごい成果を残していたとしても、給料アップなどの良い評価を受けることはほぼありません。また、チームにとってあまり結果が伴っていない行動を上司にアピールするのも厳禁です。「別に大したことしてないでしょ…」などと呆れらるほか、「扱いにくい人」「面倒な人」というマイナス評価を受けてしまう可能性があるので注意が必要です。

「ミスを報告する→感謝の言葉を述べる」という企業風土

僕は20代のころ、当時の上司に自分がやらかしたミスを伝えなかったことがあります。当時の僕は、今以上にミスの数が多くほぼ毎日強い叱責を受けていました。このような状態でさらなるミスをしてしまった僕は、「もう怒られたくない」という一心で、ビジネスでは決してやってはいけない「嘘の報告」をしてしまったのです。

嘘の内容は、「お客様に渡すべき商品のひとつをうっかり持ち帰ってしまったのに渡した」という類のもので、正確に思い出すことができません。記憶が曖昧なのは、上司の叱責が大きなトラウマになっていて、鮮明に思い出すことができないためです…「正直に話せばそれほど大きなトラブルにはならかった」「ミスを隠してしまったことが上司を怒らせてしまった最大の要因」ということだけが記憶に残っているという状況です。

ミスを連発していた僕が悪かっただけの話ですが、もし上司が冷静に対応してくれていたのなら、おそらく「すいません…忘れました」と素直に報告していたことでしょう。しかし、いくら過去のことを嘆いても何も変わりません。僕ができるのは、以下のような心がけくらいです。

【現在の僕が心がけていること】
・「上司・先輩・同僚・後輩・お客様」など、仕事に関わる人がミスをしてしまっても厳しく詰めない
・後輩がミスをした場合には、「連絡してくれてありがとう」と伝え、「一緒に対策を考えよう」と提案する

仕事において嘘をつくことは、相手が上司であれお客様であれ決して許されることではありません。ただ、嘘をつくというムーブをしてしまうのは、上司の態度・言動や職場の雰囲気など「周りの環境」にも要因があるように思えます。繰り返しになりますが、「0:100」で考えるのではなく、従業員一人ひとりの姿勢・上司の態度・職場の雰囲気の3つのバランスが大事だといえるでしょう。

ドリンクを飲みながら、ノートパソコンやノートを使って会議をする人々。

まとめ

「長時間残業が常態化している」「暴力やいじめなどが横行している」といった職場なら転職するのがベストです。ただ、「それほど悪くないけど不満がある職場」だとしたら、「自分にできる範囲で変えていく」のも悪くありません。働く職場を選ぶのは上司でもパートナーでもなく自分自身なので、もしお困りの方は何らかのアクションを起こしてみてはいかがでしょうか。

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ABOUT ME
事務→営業→コンビニ経営→記事制作→MRサポートなど多様な仕事を経験しています。 人見知りかつ内向的なADHD・ASD混合型で、多くの失敗を重ねてきました。 過去の経験や現在感じていること、昔の自分に伝えたい内容を中心に各媒体で発信中です。