カウンセリングは自分の心と向き合う作業。治療中は、メンタルクリニックへ通いたくない気持ちと闘わなくてはいけない日もある。そんな日はどうやって体を引きずり、カウンセリングへ向かえばいいのか。
今回は、私自身が苦しい気持ちになった時に行っていた“心の守り方”を紹介。継続的な治療に繋がるきっかけとなれば嬉しい。
①「カウンセリングが苦しい」と感じる原因を明確にする
カウンセリング前に心が落ちる場合はまず、「なんでカウンセリングに行きたくないんだろう」と自問自答することも、ひとつの対処法。なぜなら、「行きたくない原因」がカウンセラー(精神科医)側にあるケースも多いからだ。
真面目な人ほど、「カウンセリングに通いたくない」と感じると自分を責めてしまう。だが、行きたくない理由を突き詰めてみると、「カウンセラー(精神科医)と良い関係が築けていない」や「カウンセラー(精神科医)の言葉に傷つく」など、自分には原因がない理由に辿り着くこともある。
もし、そうした理由で通院を躊躇してしまう場合は心を守ることを最優先にし、通院するメンタルクリニックや精神科をもう一度、検討し直してほしい。
優しい人ほど、「嫌だ、と感じることにも耐えなければならない」と思うもの。だが、心の治療で無理は禁物。性格や治療方針が合わない、顔を合わせると余計に苦しくなるといった場合は「申し訳ないから続けよう」と思わず、自分が納得できる心理士や精神科医を探してほしい。
②カウンセリング後のご褒美を決めておく
複雑性PTSDの治療を開始した頃、私が実際に行っていた“憂鬱な気分の解消法”は、カウンセリング後のご褒美を決めておくことだ。治療を開始した当初はカウンセリング後に気分が落ちることが多かったので、メンタルクリニックの近くにあるカフェで好きなスイーツを食べたり、おいしいゼリーをテイクアウトしたりして自分を労わった。
そういうご褒美時間には自然と、心が落ち着いた。カウンセリングはどうしても心の暗い部分や思い出したくない記憶と向き合うため、感情が引っ張られてしまうことも少なくない。
だからこそ、ちょっぴり楽しいことや好きなことに割く時間をカウンセリング後に用意して心のバランスをとることは大切だった。
もし、うつ状態で何にも興味が持てず、無気力な場合はできるだけ楽しいことやワクワクすること、過去に自分が好きだったことを考えつつ、体と心を休めるのも良いと思う。頭の中を辛かったことや悲しい記憶でいっぱいにしないことも、カウンセリングを継続していくには大事だ。
③カウンセリングへ行きたくない自分の声もそのまま受け止める
複雑性PTSDの治療としてインナーチャイルドワークを受けていた私はカウンセリング前、自分の中にいるインナーチャイルドの声を聞くことがあった。
「行きたくない」「こんなことしても無駄だ」「ほっといてくれ」と発するインナーチャイルドの声が頭で響くと体が重くなり、メンタルクリニックへ向かう足が止まる。
一番苦しい時は電車のホームに引き寄せられるような感覚がして、「このまま死んでしまえば…」と考えたこともあった。だから、自分の中から聞こえるインナーチャイルドの声が煩わしく、「早く消えろ」と思っていた。
だが、なんとか体を引きずりながらカウンセリングを続ける中で、インナーチャイルドの声を違った捉え方で受け止められるように。「そう思うほど辛い記憶を持ってきたんだね」「行きたくないよね。思い出すもんね。分かるよ、その気持ち」と、嫌いだったはずの感情に寄り添えるようになった。
私はあなたを助けたい。もっと笑えるようになってほしいから、体を引きずってでも連れて行く。今は辛いだろうけど、私はもうあの頃みたいにあなたを見捨てないよ。そう話しかけながらメンタルクリニックに向かうようになると、頭の中でしていたインナーチャイルド声は徐々になくなっていった。
「カウンセリングへ行きたくない」と泣く自分がいると、どうしても「行かなきゃダメだよ」と鞭を打ってしまいやすい。だが、その悲鳴をそのまま受け止めてみたら心の景色が変わることもある。
抱いてダメな感情なんて、何ひとつない。そう自分に許可を下すことはカウンセリングの継続に繋がるだけでなく、心の重りを減らすきっかけにもなるはずだ。
④カウンセリングに行きたくない気持ちを心理士に伝える
信頼できるカウンセラー(精神科医)なのに、なぜかカウンセリングへ行きたくない。そう感じた時は、その気持ちを素直にカウンセラーや精神科医に話してほしい。
そうした“気持ちの変化”は心の回復には大切な情報である可能性もあるため、苦しい気持ちの時こそ、心理士や精神科医に打ち明けてほしい。
実際、私も何度か「今日はなぜか来たくなかった」や「足が重かった」と気持ちを報告したことがある。そういう日に限って、カウンセリング中に心の深部が現れた。そして、心の奥深くに隠してきた痛みをカウンセラーがケアしてくれた。そうした治療の積み重ねによって、日常の中で感じる辛さが徐々に減っていったように思う。
行きたくない日も行けない日もあっていい。そういう気持ちも大切にしながら、少しずつ自己卑下をしない状態で自己理解を深めていけたら、見える景色は徐々に変わっていくはず。
「行きたくない気持ち」を大切に扱うor扱ってもらうことで現れる過去の痛みや進む治療もあるからこそ、苦しさを自分の中に溜め込まないようにしてほしい。