前々回のコラムでは「理学療法士は頭脳労働であり肉体労働であり感情労働である」と言う事を前回のコラムでは「理学療法士は対人援助職・対人支援職である」と言う事をお伝えしてきました。
今回のコラムでは「理学療法士はチームの一員だ」と言う事をお伝えしたいと思います。
1.『チーム』の一員としての理学療法士
「チーム医療」と言う言葉が一般的になって久しいのですが、今一度、「チーム医療とは?」とおさらいしてみましょう。
以下はチーム医療推進協議会の公式サイトからの抜粋です。
チーム医療とは、一人の患者に複数のメディカルスタッフ(医療専門職)が連携して、治療やケアに当たることです。
病院では、様々な職種のメディカルスタッフが働いています。
こうした異なる職種のメディカルスタッフが連携・協働し、それぞれの専門スキルを発揮することで、入院中や外来通院中の患者の生活の質(QOL)の維持・向上、患者の人生観を尊重した療養の実現をサポートしています。チーム医療では、あなたとご家族もチームのメンバーです。
治療や療養に関する質問や悩みの相談、希望などをメディカルスタッフに伝えてください。
病床のないクリニック(医院)であれ病院であれ、一人の患者さんに対して多くの医療従事者(メディカルスタッフ・パラメディカル・コメディカルなど)が関わっている、と言うのは当然のこととして、皆さんも理解されていると思います。
そして忘れていけないのは、チーム医療の中心にいるのは患者さん(と、そのご家族)だ、と言うことです!!医師でも看護師でもリハビリセラピストでもありませんよ!!つまり、患者さんには「チーム医療に参加し意見や希望を伝える義務」があるのです。
一昔前のように「センセにお任せします」と言う時代は、とうの昔に終わりました(笑)
そしてこのチームの一員に「理学療法士」がいる、ということです。
2.チーム医療を行う上で重要なコト
チームを構成している医療従事者は、それぞれの専門家です。だからこそ、チーム医療を行うというのは難しい面もたくさんあります。
もちろん、チームの一員それぞれの技術や力量も大切です。しかし、もっともっと大切なことがあります。
- それぞれの職種が専門性を理解し、尊重する。
- 円滑なコミュニケーションをとる。
- 同じ目標に向かって協力する。
- 患者が主体的に参加する。
ここに挙げた4つは、チーム医療を推進するために「最低限」必要なことです。そしてこの最低限、必要なことを実行しようとすることは、とてもとても大変なことでした。
医師には医師の、看護師には看護師の、医療ソーシャルワーカーには医療ソーシャルワーカーの、リハビリセラピストにはリハビリセラピストの、そして患者さんには患者さんの、『意図』と『思惑』があって、それら多くの人・職種の人達の意思統一を図り、同じ目標を目指していくというのは、非常に多くの労力を必要としました。
本来、このようにチーム医療を進めていくうえで、職種や役職・肩書によって上下関係や権限に差があってはダメなのですが、実際はそうではありません。
あまり赤羅様(あからさま)に書いてしまうと、色々と反発や炎上を引き起こしそうなデリケートな話題なので、これ以上はお伝えしませんが(笑)
3.とは言え皆が人だから
チームを構成する医療従事者は、職種は違えど人であることには変わりありません。もちろん患者さんだって、“人”ですもの。
人同士、合う合わないが必ず出てきます。または“苦手意識”と言い換えても良いかもしれません。
患者さんだって例外ではありません。患者さんが「あの看護師さん苦手だな」と思えば、その看護師さんだって他の患者さんに対して「あの患者さん苦手だな」って思うことだってありますよ。そりゃ(笑)。
かくいうボクもそうでした。
患者さんに対する苦手意識っていうのはほとんどありませんでしたが、ボクはむしろ医療従事者側に対しての苦手意識を強く感じていました。他の職種のスタッフと接する時に、必要以上に身構えていたり、「こんなこと言ってどう思われるだろう」とか「変なふうにみられないかな」とか言う『恐れ』があったことは、事実です。
ホント、こんなコト言っていてはダメなんですけどね…
それに、今、ボクが心理カウンセリングで担当させていただいているクライエントさんが読んだら、ボクがこんな事を考え恐れを抱いていたなんて、きっとビックリされるかもしれませんが(笑)
この点につきましては、次回以降のコラムで、詳しく掘り下げていきますね。
今回までの3回で、『理学療法士』と言うシゴトにはどんな側面があって、どんな役割を持っているのか、と言う事を知っていただけたかと思います。
次回からは、これらを踏まえて「心の不調を抱える人(ボクのこと)が理学療法士と言うシゴトをすること」に関して、その苦悩や思い、そしてその限界についてお伝えしていきたいと思っています。