統合失調症が治るきっかけは?服薬治療と心理教育は人生の伴走者

小さな子どもが親と手をつないで歩いている様子。

私は統合失調症・てんかん・甲状腺機能低下症を持ちながら、毎日大変ながらも楽しく、育児や仕事、家事に追われる日々です。統合失調症とのお付き合いは10年ほどになりますが、患った当時はこのような平穏な日々を送れるとは、思いもしませんでした。

それでは、統合失調症に治るきっかけはあるのでしょうか?結論から申し上げると、治る(寛解する)きっかけに適切な服薬治療と心理教育(自身の病気について知る教育)、加えて定期通院は欠かせないと、個人的に思っています。なぜならば、私は統合失調症治療薬を断薬後すぐに再発した経験があるからです。

他にもきっかけがありますので、ご紹介いたします。ぜひご覧ください。

きっかけ①服薬治療と心理教育

数年前私が断薬したのは、結婚したてで子どもを希望していたことも要因の一つとしてあります。他にもいくつか理由はありますが、主にはそのような事情でした。その後1年足らずで再発し、精神科病棟へ入院をしました。

入院中、心理教育を6時間ほど受けました。自身の病気について学んだり、自分の再発の前兆やその時の対処法を考えたりしました。このような時間を設けられて初めて「統合失調症にとって断薬は最も再発のリスクを高める行動」と知りました。この時間は私にとって、今でも大変有意義な時間だったと思います。

退院後から今まで、服薬・定期通院を欠かさず日常を送ることによって、日に日に体調が安定しているのを感じています。もちろん時々、疲れることや辛いこともありますが、そのような時は、医師や訪問看護師さんの指示に従い頓服を服薬しています。

結局のところ、最初に私が憂いていた「服薬しながらの妊娠・出産」を経験しましたが、杞憂だったと言えるでしょう。生まれた子どもは、今もスクスク元気に育っています。子どもの人生も長いので、今後どのようなことが起こるかは分からないとしても、服薬しながらの妊娠・出産の影響は、今のところありません。

日没時に家族が子どもと一緒に手をつないで歩いている風景。

きっかけ②入院中の思考転換

再発後1ヶ月ほど入院しました。精神科病棟への入院は、散歩くらいしかすることがありません。だからか、普段はせわしなく日常の考え事をしている頭が、空っぽになったのです。

その空っぽになった頭の中に、ふと「世の中グレーなことがたくさんある」「私の親も一人の人間なのだ」という考えがよぎったのです。

元来私は、白黒ハッキリつけたがる人間で、またその性質ゆえに親との関係に頭を悩ましていました。きっと善悪をつけて「今私が苦しんでいるのは親の責任だ」と責任をなすりつけたかったのかもしれません。

しかしながら、男女雇用機会均等法の第一世代の両親は、育児フォローがない日本情勢の中、精一杯、紆余曲折ありながらも、私含めた3人の子どもを育て上げたことと思います。

大人だって一人の人間で、「大人」という役割を「子ども」に押し付けられて苦しんでしまうこともあるのだろうと、そんな考えに至ったのです。要は「大人も完璧ではない」とようやく気づいたのですね。

私の両親は、不器用ながらも愛情を注いでくれていました。この思考転換が生きるのは、もちろんそのことが前提かと思います。私は、両親の愛情に気づくのが、少し遅かったのですね。

このような思考転換は、私の今までの価値観をガラッと変えました。今では両親と程よい距離を保ちながら、仲良くしています。

子どもが大人の指をしっかり握っている様子。

現状を受容するために、しっかり休む

私は長らく「統合失調症を患った人生」を拒絶していました。夫と出会って結婚しても、それは変わらず「統合失調症を持つ自分」を受容するまで、長い時間を要しました。要は、どんなに素晴らしい人々に出会っても、自分が変わらなければ、根本的に変わったとは言えないのかもしれません。

私にとっては、再発後の入院中、心理教育を受けて服薬・通院の重要性を学んだことや、物思いに耽り思考転換できたことが、何よりのきっかけだったと思います。

そのような時間やきっかけを作るためには、やはりしっかり休むことが大事だと考えています。病気を煩うと焦らない方が難しいこともあるかもしれません。でも、きっと、流れに身を任せて、転んだり起きたりを繰り返してもいいんですよね。

統合失調症を患ってしまったのは、不運だったかもしれないけれど、これからは幸運かもしれない。個人的なお話を最後にすると、私は統合失調症を煩って再発してからの人生の方が楽しいですよ。仕事に家事に育児に、忙しいけれど、この自分の生き様が大好きです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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ABOUT ME
京都女子大学文学部卒業後に教員免許を取得し、教育保育関連を経てwebライターへ。小学生の頃よりてんかん、大学在学中に統合失調症、甲状腺機能低下症を発症。「普通に生きることが難しい」と感じた経験から、様々な病気と共存しつつも平凡に生きることを目標にしている。