心理カウンセリングのススメ4~心理カウンセリングの効果・本質

スーツケースを引いて歩くビジネスマンのイラスト。

前回のコラムでは、日本でもやっと国が「ストレスは健康管理に重要だ」と認めそれが徐々に広がってきているお話をしました。そしてその解決法として心理カウンセリングがある、ということも。今回のコラムでは、実際に心理カウンセリングを受けると、どのような効果が得られるのか、その本質に踏み込んでお伝えしたいと思います。

「カウンセリングなんてただ話しをしたり聞いたりするだけでしょ?」と思っているそこのアナタ!アナタです!ものすごい誤解をされておられますよ!!そもそも「友達に相談する」とか「同僚に愚痴る」とか「上司の指示を仰ぐ」とかと、何がどう違うのか、と言うところです。

少し余談になりますが、以前、同じ職場で働いていた同僚が「カウンセリングなんて “うんうん。はいはい。それで?”って言われて終わりだよね。何の解決にもならない」とボヤいていたのを聞いたことがありまして(笑)。皆さんの中にも同じ様なイメージをお持ちの方もおられるのでは?もしかしたら、その心理カウンセラーの力量もあるかもしれませんが、クライエントであるその同僚が、心理カウンセリングに取り組む『姿勢』そのものにも問題があるのだろうな、と聞いていました。

そこで今回ボクからお伝えしたいのは『心理カウンセリングの効果とは?本質とは?』です。

「心理カウンセリングの本質は、①クライエントが自分自身のことを振り返り、②自己理解を深め、③問題解決に主体的に取り組み、④自己成長へと向かう内的変化を促すこと」なのです。

それではこの“心理カウンセリングの本質”について一つずつ噛み砕きながらお伝えします。

カウンセリングを受けるためにテーブルの前に座る二人の男性のイラスト。

①クライエント自身が自分自身のことを振り返る

そもそも心理カウンセリングを受けようとその門を叩く人(クライエント)というのは、何か解決したい問題を抱えている人です(※一部例外あり)。そしてその問題や気持ちなどを「言葉や態度、ジェスチャーを使って」心理カウンセラーに説明し救けを求めようとします。心理カウンセラーはクライエントの訴えを、発せられた言葉や表された態度、ジェスチャーなどからその問題を理解し共感しようとします。この時、心理カウンセラーは、クライエントの話をまとめたり言い換えたりしながら身振り手振りを交え「言葉や態度、ジェスチャーを使って」伝え返します。

そうすると、クライエントにどんな反応が起こるか。

クライエント自身が伝えようとした問題や気持ちを、もう一度、心理カウンセラーと言うフィルターを通し、クライエント自身の耳や目からそれを再認識します。その時に「うんうんその通り」「あれ?何となくニュアンスが違う」「それもあるけど」など多様な気持ち・思いが湧いてきます。そして心理カウンセラーの対応に呼応するように反応を示します。

この様に、クライエントが自分自身で表現した問題や気持ちを心理カウンセラーが伝え返すことでもう一度、咀嚼し直し振り返ることになります。

※自分自身では問題がないと思っていても、家族や職場の同僚・上司からすすめられて、と言う方もおられます。

②自己理解を深める

『①クライエント自身が自分自身のことを振り返る』ことを繰り返し行っていく中で、心理カウンセラーが効果的な対話をすることができていれば、クライエントは自分自身の本当の気持ちや周囲に対する態度に気付き、環境や出来事をどの様に自分の中に取り込み、それを理解し認知しているのかを理解していくようになれます。

それはある意味『クライエントの歴史』をたどる旅と言い換えられるかもしれません。

それは何故かと言うと、クライエントが育った環境や親兄弟など近親者との関係性、学歴や宗教、ジェンダーやセクシャリティなど、今のクライエントを形作っている様々な要素・要因を紐解いていく事になるからです。

スーツケースを引いて歩くビジネスマンのイラスト。

③問題解決に主体的に取り組む

『②自己理解を深める』事がうまくいけば、クライエントが今抱えている問題の根幹が見えてきます。ただ、ここで誤った理解をしていけないのは「原因が分かったからそれを取り除けば良い」と言う単純作業ではない、と言うことです。例えば、クライエントが子供の頃に影響を受けた親からの価値観などに原因があったとしても、過去に戻りクライエントの親の躾(しつけ)や教育の仕方からやり直しができるかと言えば、それは無理な話ですよね。

では、何を行うのか。

クライエントが抱える問題に対して、今(または今から)実行可能なことで問題解決につながる “何か” を模索しながら獲得していくことを「心理カウンセラーが支援しながらクライエントが実行」していきます。

ここでやっと『〇〇法』と言うようなテクニックの登場です。

行動療法

認知行動療法

暴露(エクスポージャー)療法

EMDR

ナラティブセラピー

ジャーナリング

などなど

どれも理論や方法論はありますが、『クライエントが主体的に行うこと』ばかりです。心理カウンセラーは提案したり支持したりすることはしますが、実施するのはクライエント自身です。

④自己成長へと向かう内的変化を促す

最終的に心理カウンセリングは『終結』します。つまり終わりを迎えます。しかしそれは、ただ単に “今”クライエントが抱える問題が解決した時ではなく、クライエントのその後の人生において、クライエント自身で問題解決が可能となり成長した時である、と言えます。

つまりクライエントは、心理カウンセリングを受ける前とは違う自分に変化をする、成長する様になります。

「CAN'T」の「T」を蹴り飛ばして「CAN」に変える男性のイラスト。

少し難しい話になってしまいましたが、心理カウンセリングの効果や本質というは、答えはクライエントが持っていて、心理カウンセラーが答えを教えてくれる存在ではない、と言うことを理解していただけたでしょうか?

こんな事を少し思い浮かべながら心理カウンセリングを受けていただけると、より一層、効果的に活用できるかと思います。

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ABOUT ME
1975年岐阜県生まれ。長く理学療法士として医療機関に勤務。働きながら社会福祉士免許取得後、大学院修士課程を修了。リハビリテーション療法学修士。その後、産業カウンセラーの資格を取得。現在はフリーの心理カウンセラーとして活動中。セクシャルマイノリティ(ゲイ)であり身体障害者(免疫機能障害)であり精神障害者(双極性障害)である。