発達障害の私が過去のトラウマと向き合うこと

コーヒーカップとマウスの横に置かれたノートパソコンでチャットしているイラスト。

はじめに

こんにちは、とくらです。 今回の記事は少しばかりセンシティブな表現があり、嫌な出来事を思い出す方がいらっしゃるかもしれません。私が過去に就いていた仕事、セックスワークと発達障害の関係、そしてそのトラウマに向き合うことについて書いています。あくまでも個人的なお話です。 それを心にとめてこの記事を読むか読まないかを判断していただければありがたいです。

編集部より

このコラムは、あくまでもライター個人の経験です。ただ、障害があるために働く機会を得られず、社会への不信感から精神を疲弊、貧困に陥り、やむを得ずセックスワークに従事する障害者がいることも事実です。この課題については、社会全体で取り組む必要があり、このコラムがそのきっかけになればと考えています。センシティブな内容なので、精神的に負担に感じる方は読むのをお控えください。

私の過去~バイトをクビになり、職を転々とした

「これだ」と考えながらスマートフォンを見ている人のイラスト。高収入の仕事の広告が表示されている。

私は大学時代~卒業してしばらくの間、セックスワーカーとして働いていました。 要因は書ききれないほど多くありますが、もっとも大きなきっかけは当時アルバイトをしていたコンビニをクビになったことです。 仕事も遅く、レジ対応も中々なれることができず、とにかくやることは多いのにどんどんやってくるお客さん。 私はまったく使い物になりませんでした。 ある日、「店長が、辞めて欲しがっているらしい」と同僚から聞かされ、自分に失望しながらコンビニを辞めることになりました。

その後もさまざまな職種を転々としますが、結局どれもうまくいきません。 そんなある日、私は「1日2万円保証」という求人広告を目にしました。

何をするのかもわからず、バナーをタップすると、当然ですが男性相手に自分の体を売る仕事でした。 シフトが完全に自由で、出勤も自由、体調が悪い時にはすぐに休みを取れるという条件です。 当日突然出勤ができなくなることも多かった私にはとてもありがたい条件でした。

さっそく応募し面接に行くと普通の事務所に通され、普通の面接をして、いくら稼ぎたいのか、どれくらい出勤できそうかと聞かれました。

この時点で、私は過去に受けた性的暴行以外には男性と関係を持ったことがありませんでしたが、なぜか全く不安が無かったことを覚えています。

もしかすると、この性的なことに関する鈍麻も少なからず私の特性が影響していたのかもしれません。学生時代の私は発達障害という診断を受けておらず、自分でも全く自覚はありませんでしたが…

昼の仕事よりも、私に向いているように感じた

左側は「今日は行こう」と考える笑顔の人、右側は「行きたくない」と考えている泣いている人のイラスト。

セックスワーカーとして働いていると基本的に煩わしい人間関係も発生せず、私のミスが誰かに迷惑をかけることもほとんどないことは、私にとっては安心材料でした。 やはり、当日になってお休みをもらうことも多かったのですが、それが全くマイナスにならないことも出勤することへのハードルを下げていたように思います。

昼の仕事はもちろん体力的にはセックスワークよりも楽だったかもしれません。
しかし、チーム間での連携や、作業量の多さ、マルチタスクと本当に難しかったのです。 また、私は耳で聞いた指示が中々理解できないことも多く、基本的にメールで指示がくるこの仕事はとても性に合っていました。

しかし、変なお客さんを相手にすることももちろんあります。
時折どうしても嫌だと思う行為を強要されることもありました。

現在の私~結婚してデザイナーとして働いている

コーヒーカップとマウスの横に置かれたノートパソコンでチャットしているイラスト。

結局、私はフラフラと夜の仕事を転々とすることになり、就職活動もせずにいました。 当時、フラフラしている傍らでベンチャー企業でインターンをすることになったことがきっかけで、私は一般の会社に所属する足掛かりを得ます。

まだ性産業に従事はしていましたが、何となく仕事というものに対しての見え方が少しずつ変わってきたのを感じました。 そして、当時風俗と並行して働いていたガールズバー兼雀荘で現在の夫と出会います。 妊娠が発覚し、私はインターンを辞めることになりました。 同時に、セックスワークからも離れることになったのです。

現在私はデザイナーとして働いています。 フルリモートで、テキストベースのコミュニケーションを取り、会社側も基本的な私の特性についてとても理解があります。 本当にありがたいことに、私自身の特性を説明しても快く受け入れてくれたのです。

私は耳で聞いた情報を覚えていることが難しいことを会社にそれとなく伝えています。 これが功を奏してミーティング内容をチャットでまとめて送ってくれるようになりました。 自分がどんな特性を持っているのか理解し、相手に伝えることの重要性を改めて感じる出来事でした。

過去のトラウマと向き合う

当時の私は極度のセックス依存に陥っていました。
何人ものいわゆるセフレを作っておいて常に連絡を取れるようにしていたのです。 今思えばこれは自分の仕事を正当化する行為だったのかもしれません。

また、現在でも過去性産業に従事した経験は、まるで当然のように私に影響を与え続けています。 まったく私にはそんなことは関係ないと思っていたのに、です。 夫との行為中にフラッシュバックして、夜の営みを行うことのできない時期もありました。 過去と現在が地続きである以上、それから逃れることはできないと思います。

しかし、経験をパートナーに話すことで、少しずつ心がときほぐれていくのを感じました。 誰かに話す、ということはそれだけで自分の中の何かを癒す行為なのではないでしょうか。

同じ経験を持つ方へ

過去、こうした経験を持った方も少なからずいるはずです。 今でもそのスティグマに苦しんでいる方もいらっしゃるでしょう。 しかし、一度信頼のおける、本当に話せる誰かに打ち明けてみることで何かが変わるかもしれません。 一人で抱え込んで苦しみ続けることほど辛いことはないように思います。 私は実は友人たちには過去にセックスワーカーであったことをオープンに話すようにしています。 すると、「私も実は…」という経験をこっそり教えてくれたり、相談してくれたりするのです。

まとめ

 今、苦しい思いを抱えているすべてのあなたへ、私は一人一人とただ対話したいという気持ちでこの文章を書いています。
もし今でも辛いと思っているけれど吐き出せないあなたへ、もし良ければメッセージをいただけたら嬉しいです。

発達障害とセックスワーカーの関係性については、世間でも問題として議論されているそうです。しかし、引退後一般的な企業で働いている方についても実は現在進行形の問題だということはあまり提示されていないように思います。
少しでも今を生きる方が心安らげる場所を作りたいというのが今の私の目標です。

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ABOUT ME
1991年生まれ。下町暮らしのフリーライター・イラストレーター。出産後ADHDの診断を受ける。様々な立場の生きづらさを考えていきたい人。