今年度の「世界エイズデー」キャンペーンテーマが決定~「U=U 知ることから、もう一度。12月1日は世界エイズデー。」

赤いリボンの周りに配置されたハートや星などのアイコンが描かれたイラスト。

2024年7月1日、令和6年度「世界エイズデー」キャンペーンテーマが、(公財)エイズ予防財団より発表になりました!!テーマは、「U=U 知ることから、もう一度。12月1日は世界エイズデー。」です。

以下は、(公財)エイズ予防財団より発表のあった、趣旨を引用致します。

これまでHIV/エイズに対して様々な取組がなされてきました。

 治療法の進歩によりHIV陽性者の予後が改善された結果、HIV陽性者は感染の早期把握、治療の早期開始・継続によりエイズの発症を防ぐことができ、HIVに感染していない人と同等の生活を送ることが期待できるようになりました。また、近年では、HIV治療を受け、血液中のウイルス量が検査で検出できない程度に最低6ヶ月以上継続的に抑えられているHIV陽性者からは、性行為によってHIVが感染することがないことも確認されています。このことは、Undetectable(検出限界値未満)=Untransmittable(HIV感染しない)、略して「U=U」と呼ばれています。

 つまり、治療の進歩でHIV陽性者の生活は大きく変わり、HIV感染の予防にもその進歩に支えられた様々な選択肢が用意されるようになりました。しかし、現状はそうした変化が正確な情報として十分に伝わっているとは言えず、有効な治療法がなく死に至る病であった時代の認識にとどまっている場合が少なくありません。そのことがHIV感染を心配する人たちを検査や治療から遠ざけ、また、差別や偏見を招く要因の一つになっているとも言われています。  そこで、今年度の「世界エイズデー」キャンペーンテーマは、この「U=U」という言葉を知ることを契機に、もう一度HIV/エイズのことを皆で考えてみましょうというメッセージが込められています。ひとりでも多くの人がHIV/エイズのことを自分の事として捉え、HIV/エイズに関する検査や治療、支援などの知識を身につける契機とし、最新の知識の普及を通じて、HIV検査の受検促進や差別・偏見の解消につなげていきたいと考えています。(https://api-net.jfap.or.jp/edification/aids/camp2024.html

この趣旨に書かれていることを、もう少し噛み砕きながら説明させていただきますね。

1.U=Uとは

趣旨本文中にも書かれているように「HIV感染症であっても、抗HIV薬をキチンと服薬し、コントロールの良い状態が6ヶ月以上継続できていれば、他人に感染させることは“ない”」と言う事実です。これは2011年頃より科学的に証明された事実です。時々、誤って理解されている方もおられるので、ハッキリとお伝えしておきます。「感染させるリスクが低い」のではなく「感染させない」のです。

2.「Undetectable(検出限界値未満)」とは


ボクのLiving with HIV~3』でもお伝えしていますが、抗HIV薬をきちんと服薬していくと、血液中のHIV量はどんどん減っていきます。ただ、HIVはウィルスの一種であるため、基本的にTリンパ球と言う「血球」と呼ばれる細胞の中だけでしか生きていけません。血液検査では血球という細胞の外の液体の部分(血漿といいます)にどれだけHIVが存在しているか、と言う数を数えます。『検出限界値未満』というのは、精密な機械を使って血漿中のHIV量を測定しても、「HIVが見つからない・見当たらない」と言う状態を示しています。それだけHIVを抑え込んでいる、と言うことになります。

3.HIV陽性者に対する偏見や差別は根深い

U=Uは2011年頃から言われている事実だ、とお伝えしました。もう10年以上も経っているのにもかかわらず、あえてここでまた、U=Uをキャンペーンテーマに掲げているということは、それだけ正しい知識が広がっていない、と言う事を意味しています。また、正しい知識が広がっていないからこそ、偏見・差別が根深い、というもの見過ごせない事実であることを知っていただきたいと思います。

車椅子の人を含む様々な背景や年齢の人々が手をつないで輪を作っているイラスト。

毎年12月1日は世界エイズデーです。

ぜひ、皆さんに、もっともっとHIV感染症のことを知っていただき、そしてボクらHIV陽性者が、今、現実に、日本で生きて生活しているんだ、メディアの向こうの話ではなく、リアルな話だ、ということを実感していただき、共に生きてく世界を意識していただけたら、ボクはとても嬉しく思います。

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ABOUT ME
1975年岐阜県生まれ。長く理学療法士として医療機関に勤務。働きながら社会福祉士免許取得後、大学院修士課程を修了。リハビリテーション療法学修士。その後、産業カウンセラーの資格を取得。現在はフリーの心理カウンセラーとして活動中。セクシャルマイノリティ(ゲイ)であり身体障害者(免疫機能障害)であり精神障害者(双極性障害)である。