かんじんなことは、目には見えない〜ゲイの僕のハレ(非日常)とケ(日常)〜2

空に浮かぶ色とりどりの傘。

第2回:LBGTsってそもそも?

LGBTsという言葉は見かけるけど、その意味はご存知でしょうか。
Lesbian(レズビアン)、Gay(ゲイ)、Bisexual(バイセクシャル)、Transgender(トランスジェンダー)の頭文字と、この4つ以外にもさまざまなセクシュアリティがあるため、総称の意味合いで「s」をつけて、LGBTsと表現します。

sをつけず、LGBTという表記でも、セクシュアルマイノリティ、つまり性的少数者の総称を意味して、使っているケースも多々あります。

このパラちゃんねるカフェの表記も、「LGBT」という表記で、セクシュアルマイノリティの方全般を意味している総称として、使用していると思います。

私自身は、LGBT以外のさまざまなマイノリティがあることを、よりわかりやすく表現していきたいため、LGBTsという表記をしていきたいと思います。

マイノリティか、マジョリティか

このLGBTsやセクシュアルマイノリティという言葉は、ここ数年、当事者の私自身もよく目にするようになったし、ニュースや会社の研修等で聞くようになってきたな、という実感があります。

マイノリティ、つまりは少数者という意味で、その逆の意味は、マジョリティ=多数者ですから、なるほど、たしかに僕はセクシュアルという分野では、少数者なんだな、と突きつけられている気にもなります。

だからといって、僕の場合は、それ自体が嫌だ、と思っているわけではないのですが、世の中、やはり「最大公約数」で社会システムが作られていくもの。

マイノリティゆえに、マジョリティの方々が得られている権利や慣習がないものも少なくありません。

マイノリティゆえの得られない権利

たとえば、「結婚」の権利。

読者の中には、「自治体によっては、同性パートナーシップ条例ができてるよね?」と思われる方もいっしゃるかもしれません。その進歩は、本当に喜ばしいことですし、関係者の方には感謝の気持ちしかありません。

その反面、「結婚」とは、残念ながら、かなり違うところがあります。

たとえば、婚姻届を提出するのは、無料で提出できますが、同性パートナーシップの届出を自治体に出すには、お金がかかります。その金額、高いところだと、なんと1万〜7万弱。住民票の取得の時に数百円払うという感じではなく、かなり経済的負担が大きいのです。

もちろん無料で届出を出せる自治体もありますが、婚姻届を出すのに6万かかりますと言われたら、入籍したいと思ったあなたは、提出したいと思いますか?

入り口のところだけでなく、たとえば、パートナーの方が亡くなった時に、男女の婚姻関係またはそれに準ずる関係であれば、パートナーの資産を相続することができます。

自宅を所有していたとすれば、多くのケースでそのままその家に住むことができるというのが、当然の権利だと思います。ところが、同性パートナーシップ条例では、相続権などは約束されていません。

つまりは、家を所有していたパートナーが亡くなった場合、その親族に相続権がいくため、残されたパートナーが長年住んでいた家を出ていかなければならない、といったこともあります。

人生を共にしてきたパートナーが亡くなることでさえ、大きなショックなのに、さらに追い討ちをかけるような状況が待っているかもしれない、というのはいたたまれないと、僕は思ってしまいます。

夕日を背景に湖のそばで話している二人の人々。

パートナーシップ証明の恩恵

逆に、同性パートナーシップ証明を結ぶことで、何ができるようになるかといえば、たとえば、同性同士で不動産を借りたいと思った際に、不動産業者が同性同士の同居だから断る、といった不当な断りがないように自治体が勧告できるようになったり、生命保険の受取人に設定できたり、携帯電話会社の「家族割」が適用できたりします。

また、医療の現場においても「ご家族のみ面会」という場面になった際に、該当する人と認識してもらえたりもします。
といっても、各社(各病院)によって対応が異なる、といったのも実態です。

僕の友達で、長く付き合ってるゲイカップルが、なかなか不動産の物件が決まらなかったりしていました。生命保険の受取人に設定するのも、男女の婚姻関係であれば、特に証明書等は不要ですが、同性パートナーの場合は、所定の書類の提出が必要だったり、ヒアリング(調査)が必要だったりもします。

もちろん、事業者側の言い分もあることはわかってはいるのですが、同じ「愛のカタチ」の1つのはずなのに、マイノリティとなるだけで、こうも対応が違うのか、と残念に思う気持ちはあります。

マイノリティといえど、その割合は?

先ほどからマイノリティ(少数者)と表記をしているものの、その割合はどのくらいかご存知でしょうか?

さまざまな調査結果がありますし、自己申告になるため、絶対的な数値はありませんが、かなりの規模感で行われた調査によると、LGBTs、セクシュアルマイノリティの割合は、8.9%と言われています。(電通ダイバーシティ・ラボ調査 2020年)

8.9%は、約13人に1人ということです。この割合は、左利きの人とほぼ同じ割合です。
また、佐藤さん、鈴木さん、高橋さん、田中さんという日本に多い苗字の人口よりも多い数値なのです。皆さんの知人の中にも、この4つの苗字の方が1人はいるのではないでしょうか?

そう考えると、決して他人事ではなく、優先順位が低いものではなく、かなり多くの人たちにとって、由々しき問題が、今、日本で起こっているのでは、と思っています。

何が問題で、何に困っているのか?
普段ただ生活をしているだけでは気づかないことを、このコラムを通して、少しでも皆さんの中で知ってもらえたら本望です。

もちろん、セクシュアルマイノリティだけに限らず、このパラちゃんねるカフェを通して、さまざまな当事者のお話に触れて、僕自身も色々と学んでいきたいと思っています。

そうして「知る」というところから、すべてが始まると思っています。より多くの人たちに、このサイトが行き渡るように、なるほど、と思ったところがあれば、ぜひ周りにシェアしていただけると嬉しいです。

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ABOUT ME
誰にも言っていなかったゲイ当事者ということを、32歳の時に周りにカミングアウト。現在は、オープンリーゲイとして、研修講師や取材を受けている。本業のかたわら、ラジオパーソナリティとしても活動中。ネットラジオは毎日配信を380日以上継続中。麺類全般が好きで、毎日食べていても飽きない。流行りものが好きで、現在はサウナにハマり中。