こんにちは。お久しぶりです、萩雪希です。今回は、今1番自分を悩ませている「解離性障害」について、お話しさせていただきます。
気づいたら進んでいた時間、移動していた自分
私が初めて自分の状態に違和感を覚えたのは、大学の研究室で休憩していたときでした。その研究室は、学生が自由に利用できるスペースで、私もよく利用していました。
ある日、気がついたら時計は17:25を指しており、教授会から戻ってきた教授に「まだ居たのか!?」と驚かれました。
普段なら「お前さんいい加減帰れよ~」で済むところ、その日は違いました。なぜなら、その時の私は「ここに来た記憶がなくて…。僕はE1のラウンジに居たはずなのに…」と一人称が「雪希」ではなく、別の人格「黒羽」で話したからです。
その教授は心理学者でもあるので、すぐに解離(定義は後述)の兆候に気がつき、病院に行くことを薦めてくれました。
その後、病院で「解離性障害だね、しかも同一性の」と診断されました。これが、私が解離性障害に気がついた最初の体験でした。
解離性障害の定義
ー 定義
『強いストレスから意識を変化させたり防衛機制が働いているのが解離症。(中略)ストレスに対して異常な防衛機制が働き、通常の日常生活や社会生活に支障をもたらしているもの』
■離人感/現実感消失感
自分の行動などを傍観しているように感じること。幽体離脱も含まれる。極度の疲労に陥った健常者にもみられる。
■解離性同一性障害
かつて、多重人格と言われたもの。1人の体に複数の人格が存在して交代が容易に行われる。
■解離性健忘
ストレスにかかわることが思い出せなくなる。『例えば虐待や拷問の体験など』。
■変換症/転換性障害
医学的な問題はないものの症状が現れているもの。けいれんや失声、視力や聴力の障害、痛みなど多岐に渡る。
ポイントは『満ち足りた無関心( 転換性障害にみられる自身の症状の重篤さに比して無頓着な態度のことを指す)』。
■他にも、全ての記憶を失う全生活史健忘、覚えていない間に知らないところに行き新しい生活を始めることもある遁走などもある。
ー 診断と治療について
診断には、本人が病識を持っていないこともあるため、面接において注意を払って症状を観察する。また、周囲の方から情報を得ると同時に、内科的検査を行なったり、心理検査をおこない、解離性障害の診断基準に照らし合わせて、診断する。
初期には、安心感のために精神療法、薬物療法をおこなう。治療が進むにつれカウンセリングを行う。
※参考、出典:
「精神診療プラチナマニュアル第2版」/松崎朝樹 (メディカル・サイエンス・インターナショナル)
「精神医学と精神医療」/一社日本ソーシャルワーク教育学校連盟(中央法規出版)
「もっと知りたい解離性障害 解離性同一性障害の心理療法」/岡野憲一郎、松井浩子、加藤直子、久野美智子(星和書店)
油山病院HP(https://www.aburayama-hospital.com/blog-abu/2022-3-19)
複数の人格で共存し、治療をすすめた
私たちの場合、複数の人格がいることがわかっていたため、まずは「共存」という方策をとりました。
健忘対策として行動記録をつけ、空白期間と未把握の人格を見つけました。また、痛みには薬物療法を取り入れました。こうした対応を通じて、気づかなかった人格がいることや、フラッシュバックがオーバードーズに関わっていることが分かってきました。雪希本人も行動記録を見て人格の存在を理解し納得していきました。
大学では、課題の提出期限の延長や、途中離席の許可(突然人格が交代するため)などの合理的配慮を受けましたが、最終的には中退となってしまいました。
解離性障害とスティグマ(偏見)
読者の皆様は、「多重人格」「幽体離脱」「健忘」と聞いてどんな感情が浮かびますか?「怖い」「自分も経験がある」などでしょうか。
とくに、解離性同一性障害は、解離性障害の中でも最も重いと言われる病態ですし、出会う機会もそうないと思います。
だからこそ、自分の中にある偏見に気が付かない。
怖いと思われたら、患者の肩身は益々狭くなってしまうでしょう。解離は、怖いものではありません。解離は、心を何とかして守ろうとした結果の病態なのです。
それを、怖いと言うことは、思うことは、身体疾患を怖いと思うことと同じ。スティグマ(偏見)は、案外皆の心の中にあります。そのスティグマを払拭することは、簡単ではないが、それでも、自分の中にスティグマがあることを解ることだけで、人は人に優しくなれると考えられます。
おわりに
今回は、パラちゃんねるカフェでもあまり取り上げられなかった「解離性障害」について取り上げさせていただきました。
心の中にあるスティグマに気がつくこと、解ろうとすること、それだけで、どんな障害を持った人も、生きやすくなる社会がやってくると考えるから。
お読みいただきありがとうございました!