5/12はME/CFS世界啓発デーです。MEとは筋痛性脳脊髄炎、CFSは慢性疲労症候群のことを指し、どちらも同じ病気のことを指します。
ME/CFS世界啓発デーとはどんな啓発デーなのか、そして筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群とはどんな病気なのかということをまとめました。
ME/CFS世界啓発デーとは?
ME/CFS世界啓発デーとは、「ME/CFS(筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群)」を正しく広く認知してもらうために始まった企画です。
これに付随し、同じように理解や認知が薄い「線維筋痛症(FM)」や「化学物質過敏症(MCS)」も同じく啓発対象の疾患となっています。
一般的な検査では異常が見られないこれらの病気では、診断が下りるまでに時間がかかってしまうことが多く、重症化してしまうケースもあるため、早期発見・早期診断が鍵となっています。
しかし、専門の医療機関が少なく、病気の認知度が低いといった現状です。
患者さんの中には、診断されるまで10年もの時間を要した方もいらっしゃいます。
また、見た目からは異常がないように見えることから、周りからは「怠けている」「いやいや病だ」「サボっている」といった誤解の目で見られることもあります。
こういった現状を変えていくためにも、正しい周知を広げていくことが大切です。
そのため、この啓発デーが制定されました。
5/12が啓発デーなのは、上記の病気を抱えていたとされるナイチンゲールの誕生日にちなんでとのことです。
ME/CFS(筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群)とは?
ME/CFS(筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群)とは、ある日突然原因不明の激しい倦怠感が全身を襲い、強度の疲労感や微熱、筋肉痛や脱力感、更には思考力の障害や抗うつ症状が出る病気です。
これらの症状により、日常生活を送ることが著しく困難になり、治療法が確立していないことから、患者は辛い日々を送っています。
また、患者の1/4は長期にわたって回復が見られず、常に寝たきりの状態や介護を必要とする場合もあります。
ですが、専門医が少ないことから診断が難しく、公的支援の対象外であることから医療や福祉の支援を受けることが困難なのが現状です。
病気の認知度が低いことで、適切な医療を受けることができない・偏見の目で見られてしまうといったことがありますので、認知を広げていく必要があります。
ちなみに、啓発の印であるリボンの色は青色で、啓発デーのシンボルカラーとなっています。
化学物質過敏症(MCS)とは?
化学物質過敏症(MCS)は、洗剤や芳香剤などに含まれている、さまざまな種類の化学物質に微量でも反応してしまう病気です。
症状として、頭痛や倦怠感、不眠などいろいろな症状が現れますが、重症になることで学校や職場に行くことはおろか、日常生活を送ることでさえ困難になってしまいます。
しかし、化学物質過敏症も検査などでは異常が見られず、病院を転々とすることや「気のせい」などと偏見の目で見られてしまうこともあり、周りの認知が必要な病気です。
化学物質過敏症(MCS)は、ME/CFS(筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群)と併発しやすい病気とも言われています。
ちなみに、化学物質過敏症(MCS)の啓発リボンの色は緑です。
線維筋痛症(FM)とは?
線維筋痛症(FM)は、全身のこわばりや激しい痛み、睡眠障害などが生じる病気です。前述した病気同様、検査しても異常が見られないことから、診断が難しいとされています。
重症化すると、爪や髪への刺激・温度や湿度の変化・音などの軽度の刺激ですら激痛になり、自立した生活を送ることが困難になってしまうケースもあります。
脳の機能障害が原因ではないかとされており、心理的・社会的ストレスが引き金となっているケースもあるとされていますが、発症原因は明確になっていません。
患者は見た目からはわからない激痛を抱えながら生活していますが、周囲の理解を得るのが難しい病気です。
化学物質過敏症(MCS)と同様に、ME/CFS(筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群)と併発する場合もあります。
また、全身性エリテマトーデス(SLE)などの膠原病などと併発することが多く、実際に筆者も全身性エリテマトーデス(SLE)と線維筋痛症を併発しています。
ちなみに、線維筋痛症(FM)の啓発リボンの色は紫です。
正しく認知することで変わる
ME/CFS世界啓発デーは、
- 筋痛性脳脊髄炎(ME)/慢性疲労症候群(CFS)
- 化学物質過敏症(MCS)
- 線維筋痛症(FM)
これら3つの病気を啓発する目的があることがわかりました。
このように、周りからの理解を得るのが難しかったり、専門医が少なく診断が下りるまでに時間を要したりと、これらの病気にはまだまだ課題があります。
きっと、今読んでいる方の中にも、上記の病気を知らなかった方もいらっしゃるのではないでしょうか?
現在、さまざまな患者会や団体、個人が病気の啓発をおこなっており、少しずつではありますが認知が広がってきています。
自治体によっては、患者会が主体となって啓発カラーであるブルーのライトアップをおこなったり、ブルーフォトチャレンジといった青色の写真をシェアする取り組みがおこなわれたりしています。
みなさんも、この記事を読んでくださいましたら、ぜひTwitterなどで拡散してください。
あなたの行動で更に認知が広がり、病気への理解や医療従事者への理解、そして原因不明の体調不良で悩まれている方を救うことになるでしょう。