車いすユーザーとして働きはじめて4年目の私が、働くことによって得られた「良い変化」を6つご紹介します。私自身が感じていることなので、同じような障害の人すべてに当てはまることではありませんし、人によっては同意できない点もあるかもしれません。ご自身の考えとの違いを楽しみながら読んでいただければと思います。
はじめに
車いすユーザーとして働きはじめて4年目の私が、働くことによって得られた「良い変化」を6つご紹介します。
今回は100%主観的な内容なので、人によっては同意できない点もあるかもしれません。そのため、ご自身の考えとの違いも楽しみながら読んでいただければと思います。
①「ありがとう」をもらうことが増えた
私は障害を理由に他人にサポートをお願いする機会が多くあります。そのため「ありがとう」と言われることよりも、「ありがとう」を伝える方が圧倒的に多いです。
しかし、働くようになってから、周囲から「ありがとう」と言われることが、以前に比べて増えました。人に感謝されて、「ありがとう」と素直に言われると心が温かくなります。
たとえば、授業後に学生から「先生の説明はとても分かりやすかったです。ありがとうございます」と言われたときは、言葉にできないほどの喜びで胸がいっぱいになりました。
②活動的になった
働きはじめてから、障害年金だけで生活していたときと比べて収入が増えました。
お金があると活動の選択肢が増えます。旅行や外食など行ってみたい場所が増えたことで、就職する前よりも活動的になりました。
特に思い出に残っているのは、夫婦で行ったハワイ旅行です。
学生の頃は海外旅行なんて考えたことすらありませんでしたが、このハワイ旅行をきっかけに行ってみたい場所が増えました。
この1年間はコロナウイルス感染拡大の影響により自宅で過ごすことが多かったのですが、自由に外出できるようになったらまた海外旅行に行きたいです。
③社会に貢献している実感を得られた
私は障害を負ったときにある目標を立てました。それは「納税者になること」です。
たとえ障害があっても社会に支えてもらうだけでなく、自分も納税者として社会を支える一員になりたいと考えていました。
はじめての給与明細を受け取り「所得税◯◯円、住民税◯◯円」と納税額を目にしたときは「障害のある自分も納税者として社会に貢献できている」と、実感しました。
もちろん納税をしていない人は、社会に貢献できていないとは全く思っていませんので、そのあたりは誤解のないようにお願いします。
④視野が広がった
働きはじめてから様々な人との出会いがありました。
仕事は、同僚や取引先の関係者など多くの人と関わり合いながら進めていきます。そして仕事を通じて出会った人たちが、私の視野を広げてくれました。
たとえば、私は大学で勤務しているので、他分野の研究をしている先生方と接する機会があります。そこでのお話をきっかけに新しい研究のアイデアがひらめいたり、自分のキャリアを考え直したりしました。
⑤障害が価値に変わった
私は大学で「障害学」という授業を担当しています。
この授業では、障害に関する歴史や障害者の心理について教えています。その中で、障害受容に関する授業回では、私の実体験を踏まえて話をします。学生からは「実体験をもとに学ぶことができて、理解が深まった」と感想をもらいました。
この授業を通じて「障害のある自分だからこそ教えられることがある」と気がつきました。
障害というマイナスに捉えがちなことも、見方を変えると1つの価値になることを知りました。
⑥健康を大切にするようになった
働くようになってから、健康への意識が高くなりました。
公共交通機関や自動車で通勤をして、夕方まで職場で働き、帰宅後はヘルパーさんに手伝ってもらいながら入浴をする。この一連の流れは、身体障害のない人でもかなりの体力を使います。私のように身体が不自由だと尚更です。
そのため、働き始めてからは、体調を崩して仕事を休むことがないように、夜ふかしや深酒をしないなど、規則正しい生活を意識するようになりました。結果的に学生の頃よりも健康的な生活を送っています。
まとめ
今回は「働いてよかった」と感じたことを紹介しました。
私は仕事をはじめるまで「労働=収入を得るため」と考えていました。しかし、働きはじめてから、仕事を通じてお金以上の対価をもらっていると感じています。
今回の記事を読んで「自分も働きたいな」と思える人が増えると嬉しいです。