推しという存在を人生のモチベーションにしませんか?

「推し」と書かれたうちわを持ち、ライトスティックを持っている笑顔の女性のイラスト。背景は青色。

私は身体性表現障害という理由から8年間ニートをしていましたが、応援しているタレント、いわゆる推しのおかげでニートを卒業し、働けるようになりました。今回は、どうやって私が働けるようになったのかを振り返っていきます。

8年間のニート生活を卒業したきっかけは「推し」

私はゆめみがちというペンネームで活動している29歳の、ADHDと自閉症スペクトラムを持つものです。

実は私、発達障害の診断を受ける前に身体性表現障害という理由から8年間ニートをしていました。しかし、応援しているタレント、いわゆる推しのおかげでニートを卒業し、働けるようになりました。

働けなかった8年間

働けなかった原因は2つあります。

1つ目は、先ほど申し上げた通り、身体性表現障害があったからです。

身体性表現障害(現在は、身体症状症と呼ぶこともあります)とは、身体自体には何も炎症がなく、ウィルスにも罹っていない健康なのに著しい不調が出るものです。

要するにメンタルの不調が身体にも現れるもので、具体的な症状としては、身体の痛みや胃腸炎、嘔吐や下痢などがあり、本当に1日中ベッドから起き上がれない状態でした。私は4ヶ月前に発達障害であることが判明したので、この症状ともどこかで関係があるかもしれません。

あとは、単純に働きたくなかったんです。

私は自分の興味のあることがいっぱいあります。文章を書いたりシナリオを作ったり動画編集したり絵を描いたりしたいのです。

頭の中にも常にアイデアが溢れていて、空想の世界にいくらでも浸っていられます。これはADHDと関係があるのかは自分でもわかりませんが、幼少期からずっとこんな感じです。

1人でいることが苦痛ではなく、常にやりたいことが尽きないので、寝たきりの時もスマホとパソコン片手に、趣味で創作をしていました。

この2つの理由が合わさると「ただでさえ身体が痛くて吐いてしんどいのに、なぜ自分の好きを手放してまで、働かなきゃいけないの、仕事でもっと大変な思いをしたら耐えられない、意味わかんない」となってしまったのです。

そんな思いで約8年間ニート状態でした。

さまざまな専門家や支援者の方から「ちょっとだけ働いてみよう!」とアドバイスをもらったり、実際に働き口を紹介されることもあったりしたのですが、就職には至りませんでした。

「働きたくないから身体が痛いと仮病を使っている」と呆れられるほどでした。

推しとの出会い

そんな私が働けるようになったのは「推し」という存在のおかげでした。

ネットで見つけた「推し」に出会い、あれよあれよという間にどハマりしてしまいました。外に出たくない、ベッドから起き上がれなかった私が推しのライブにも行きたくなったのです。

ライブに行くためにはお金が要ります。チケット代だけでなく、遠方の会場までの交通費にホテル宿泊費(まとめて遠征費と呼んだりします)をシュミレーションすると、かなりの金額になります。

私はその時、「推しのライブに行くために、バイトしよう」と思ったんです。それは超あっさりとした決断でした。

そこから、私は推しのライブに参加する費用を稼ぐために単発のバイトを繰り返し、自分の好きな業務ができる会社に就職することもできました。

どれだけ他の人から「働こう」と誘われても少しも心が動かず8年間断り続けていたのに、推しとの出会いであっさりとニートから卒業しました。

「推し」と書かれたうちわを持ち、ライトスティックを持っている笑顔の女性のイラスト。背景は青色。

「なぜ私は8年間もプロの就労支援の方たちからの説得や誘いでは動かなかったのだろうか?」と自分なりに考えてみました。

それは「働こう!」というサポートをされる方は皆、「働いて社会の一員になろう!他人と協力するのは楽しいよ!」というスタンスだったからではないかと思います。

もちろんそれも立派な考えですが、私には向いていませんでした。

「それのどこが楽しいの?どこが魅力なんだろうか?」と反射的に思ってしまうのです。

私は幼少期から人間関係につまづくことが多く、だからこそ、「みんなと協力して何かを達成する」ことを楽しいと感じたことがありませんでした。むしろ、気を遣って疲れたり、疎外感を味わったりと、嫌な思い出の方が多かったのです。

学生時代のおしゃべりも上手くできなかったのに、仕事上の人間関係なんてもっと自信がありません。身体のしんどさも加わり、憂鬱な未来しか思い描くことができませんでした。

もしかしたら、私がここまで働くことのメリットを感じられないのは、実家暮らしなことも関係あるかもしれません。世の中にはやりがいを求めているからではなく、生活のために働いているという方たちも多いはずです。

私はいつまでも親に頼るわけにはいかないと頭では分かってはいても、今すぐに働かなければ生きていけない状態ではありませんでした。

就労支援の方たちの言う「働くメリット」は魅力的に感じられず、生活のために割り切って働こうと思っても身体の痛みが無くなりませんでした。甘えていると言われてしまうかもしれませんが、もっと別の何かが欲しかったのです。

不安もかき消す推し

アイドルがステージでパフォーマンスする様子と、ライトスティックを振って応援するファンの女性のイラスト。背景にはスポットライトが当たる。

しかし、働けばお金を貰えるので、推しのライブに行くことができます。

「なんかもう不安とかどうでもええわ。働くのでお金ください!」というほどコロッと変わりました。「とりあえずミスしても怒られてもなんでも、推しのためなら乗り切れる」というガッツも生まれました。

働けばお金をもらえて、推しに会える。それは、私にとって初めて「働くことが幸せにつながる」と実感できる瞬間でした。

ちなみに、あれほど悩まされていた身体の痛みも画面越しの推しの癒しのパワーでちょっとずつマシになりました。きっと、推しからは私の身体の痛みやメンタルを回復させる何かが出ているのでしょう(個人の感想です)。

それくらいときめく存在の推しに、働けば会えるのです。働くことと「自分がやりたいこと・好きなこと」がリンクした瞬間でもありました。自分の好きなことのためなら頑張ることができます。

推しのために仕事していていいの?と言われるが

「推しのために仕事をしている」と言うと、反発されることもあります。

働いて得たお金を推しに使うことに違和感があるのかもしれませんが、身体の痛みが無くなり、外に働きに出られるようになったことは推しのおかげなので、ここはどうしても譲れず。どうしたらいいのか私も考えているところです。

「推しに飽きちゃったらどうするの」と質問をされたこともあります。

「なんでそんなに否定的なんだろう?」と疑問だったのですが、おそらく「もっと仕事自体にやりがいを見出せないの?」という意見なのかと思います。

しかし、「やりがいのある仕事をする」はめちゃくちゃハードルが高いのでは?と思っています。

私は就職することはできましたが、うまくは働けていません。派遣先でもミスを連発していますし、ミスをしなくてもめちゃくちゃ怒られますし、ニートを卒業してから初めて就職した会社はクビになりました。

仕事にやりがいを求めていない私でも、真面目に働いているつもりでしたが、ここまで上手くいかないのかとゲンナリしました。自分が悪いこともありますが、働くことは傷つくことばかりです。

働けば働くほどお金を稼げたとしても、私の場合、自己肯定感が下がってしまいました。かなりメンタルにきました。

私の場合、クビになった直後に推しのライブがあったため、なんとか正気でいられましたが、本当にあのときは推しがいなければ危なかったです。

全ては推しに帰着する

私が働く理由は「働いたらお金もらえるからハッピー」という単純なこと。それでいいし、それだけで十分立派な考えではないでしょうか。

仕事のやりがいを目的にしたら挫折したときに苦しくなってしまう。これは、障害者だからとかではなく、働くことに抵抗がある人にとっても言えることだと思うんです。

私も現在は「興味のある分野でしか集中力が持たない」という特性を感じ、できるだけ自分が好きな仕事ができるように日々勉強しています。

自分の好きなことを活かし、誰かをエンパワーメントできるような人間になりたいと思っていたら、いつの間にか仕事に意義ややりがいを感じるようになっていました。ただ、そこに辿り着いたのも、なんとか頑張れているのも、ぜんぶ推しのおかげです。推しがこんな私が働くほどのパワーをくれたので、「私も頑張る!」と感化されました。

私の働く理由も、働くモチベーションも、元気でいることも、全て推しに帰着します。

でもそれで少しずつでも成長できていて、自信に繋がっています。皆さんも推しを探してみませんか。日々の生きづらさが和らぎ、仕事や人生のモチベーションになります。

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ABOUT ME
身体性表現障害で8年の無職ひきこもりから、推し活のおかげで社会復帰に成功。しかし会社に就職するもクビになり、直後にADHDとASDスペクトラムが発覚した。現在は自身の発達障害に向き合いながら、推し活の素晴らしさを様々な角度から発信している。