障害の有無にかかわらず、免疫力が低い方にぜひ知っておいてほしい病気がある。
それは、犬や猫に噛まれることで発症する「パスツレラ症」の恐ろしさだ。
私は以前、愛猫に噛まれて、この病気を発症し、動物との関わり方を見直す機会を得た。
愛猫に親指を噛まれて「パスツレラ症」に!
無脾症候群の私は脾臓がない分、健常者よりも免疫力が低い。だから、3匹の愛猫と暮らす中で、こまめに掃除をしたり、寝室を別にしたりと自分の体調を守れるように気を付けている。
だが、2年前、愛猫に首輪をつけている時、指を首輪だと勘違いされて思いっきり噛まれてしまい、パスツレラ症になった。
パスツレラ症は、人畜共通感染症(ズーノーシス)のひとつ。原因となる菌が、犬では75%、猫では100%の確率で口腔内に常在していると言われている。
私が噛まれたのは親指だった。普段の甘噛みとは全く違って、噛まれた時の衝撃が強く、指に穴が開くのではないかと思うほど。1時間経っても血が止まらず、ズキズキとした痛みも出てきた。
もともと、猫に噛まれるとパスツレラ症になる可能性があることを知っていたため、パスツレラ症を疑い、病院へ。病院に着いた頃、親指は赤く腫れ、曲げられなくなっていた。
救急外来で診てもらうと、37.5度も熱があることが判明。平熱は35.8度であるため、ただ事ではないと思った。医師は患部を消毒してくれ、破傷風の注射を打ってくれた。
膿が出ていなかったため、この日は抗生剤と痛み止めを貰い、帰宅することになったものの、翌日に必ず形成外科を受診するようにとの指示が。形成外科では抗生剤を追加処方され、1週間後にまた来るようにと言われた。
もしも、膿んでくるようならば皮膚を切り取って、膿を出します。医師にそう言われ、恐怖が募った。痛いことは嫌だから、膿まないようにできるかぎりのことはしよう。そう思い、自宅では医師から教えられた通り、石鹸で患部をゴシゴシと洗い、塗り薬を塗布し、親指をガーゼで保護し続けた。
パスツレラ症の症状と回復までの体験談
そんな日々の中で、体にある変化が。熱っぽさやだるさを感じるようになり、なぜか下痢も止まらず。親指の腫れは発症から3日で引き、曲げられるようにもなったが、体調不良に悩まされた。
下痢が治まったのは、発症から5日目のこと。1週間後、病院での経過観察で完治との診断を受けたが、しばらくは親指に違和感があり、押した時に何とも言えない痛みを感じた。
幸い、その後、違和感や痛みはなくなり、これまで通り親指を動かせるようになったが、もし重症化していたら…と思うと、正直ゾっとする。愛猫に噛まれた時は、「ただ噛まれただけ」と傷口を放置してしまいやすいが、パスツレラ症は重症な場合、敗血症や髄膜炎を引き起こしたり、死に繋がったりすることもある危険な病気だ。
私を診てくれた医師も、「猫に噛まれた時は異変がなくても、すぐに病院へきてほしい」と言っていた。それほど恐ろしい病気であることが多くの人に広まってほしいし、私と同じように免疫力が低い人は重篤な症状になる恐れがあるので、特に気を付けてほしいと思う。
動物との接し方を見直して病気を予防しよう
また、こうした病気を引き起こさないように、動物との接し方を見直すことも大切だ。手足をおもちゃ代わりにすることをやめたり、猫に強く噛まれないように遊び方を変えたりするなど、人間側ができる工夫はたくさんある。
動物が噛んでしまうのには、それなりの理由があるのだから、飼い主がその原因を取り除き、お互いが安全に暮らしていけるように努めていく必要があると私自身、思い知らされた。
私の体験談から、動物を責めずに自分の健康も守れる距離感や対処法を多くの飼い主さんに見つけてほしい。