私は統合失調症を抱えながら、15歳と8歳の2人の娘を育てています。
慣れない育児や睡眠不足、また当時は通院投薬を断っていたことから、長女を出産後わずか10か月ほどで統合失調症を再発してしまいました。
ほぼ寝たきりの状態での乳児の育児は、周りに支えられながらの大変な育児でした。
長女を連れて実家へ帰り、父や母を頼りながらの離乳食、夜のお世話、遊び、ミルクの世話、おむつ替え……。
正直、自分が母親なんかで良いのだろうか?何もしてあげられない自分が不甲斐ない!と何度も思いました。
けれど、夫や父母は優しく「できることを、できる範囲でやっていけばよいから」と、私を励ましてくれました。
私は長女の乳児期の育児は、ほとんど何もできませんでしたが、1つだけ決めたことがあります。
それは育児を全部周りに任せてしまうことだけは、しないようにしようということ。
長女の存在や長女との関わりに心を支えられていた私は、全てを手放してしまうと自分の方が参ってしまう気がしていたのです。
せめて1%は頑張ろうと思い「おむつ替えだけは自分でやる」と決め、実行しました。
それが私にとっての「できる範囲のできること」でした。
2年ほど実家と夫がいる自宅を行ったり来たりする生活をした後、長女を保育園へ入れる手続きを整えて自宅へ戻り、夫と長女と私の3人の生活がスタートしました。
父母の手から離れて、今度は自分と夫の2人で育児をしていかなければなりません。
それは、無気力・倦怠感・疲れやすさなどの症状が出る、陰性症状との戦いの日々でした。
息をするだけで精一杯でも大丈夫!家事・育児のハードルを下げてみよう!
できることより、できないことの方が多かった長女の育児。
陰性症状が強くて体がついていけないときや、家事・育児ができないことで自分を責めたくなったとき、私は家事や育児のハードルを、自分のできる範囲に下げて実行していました。
私が行っていたことを少し紹介します。
1. 食事が作れないとき
1日3食の食事をきちんと用意することは、意外に大変です。
私は長女を保育園に入れたことで、昼食作りは逃れましたが、夕食を作るのが大変でした。
そんなときは、簡単にできる手抜きメニューをあらかじめ何点か考えておき、動けないときはそのメニューを作って対応していました。
お惣菜を買ってきて、味噌汁とサラダと白飯だけ用意する、簡単なパスタや麺類を作る、丼や鍋ものにする……などは、今も体が辛いときに我が家でしています。
たとえ全く作ることができず、お弁当を買ってきても、1食ベースではなく、1日ベースで栄養がとれていれば良いと考えて、なるべく自分を責めないようにしていました。
2. 子どもの遊びに付き合えないとき
私が気力の無さに悩まされていても、長女にとっては関係ないことです。
娘の「遊ぼう!」攻撃に応えてあげたいけど無理……。
なんとか体を動かしても、すぐにまた横になりたくなってしまいます。
そんなときは、すぐに横になれるようにリビングに布団を用意しておき、布団に寝転がりながら、長女のお人形遊びに付き合ったり、絵をかいてあげたりしていました。
また、「20分だけ」と時間を決めて、長女と遊んだこともあります。
どうしても動けないときは、テレビを見せて寝ていたこともあります。
テレビも毎日長時間でないなら、良いという考えです。
まずは、ママが笑顔になれること、病気を悪化させないことが大切です。
3. 掃除や片付けができないとき
思うように体が動かないと、掃除や片付けもままなりません。
小さな子がいると、なおさら部屋は荒れがちです。
そんなときは無理をせず「5分だけ」とか「10分だけ」と決め、長女にとって危ないものや、どうしても邪魔になるものだけ片付けます。
埃で人は死にません。
「足の踏み場が残っていれば良し!」「調子の良いときに片付ければ良し!」
多少の埃には目をつむって、完璧は目指さずに安全だけを確保しておきました。
4.息をするしかできないとき
いくらハードルを下げても、本当に何もできないことがあります。
息をするだけで精一杯、一日の時間が過ぎるのを待つだけで精一杯です。
そんな体調のときは「生きているだけで頑張っている」と自分に言い聞かせます。
また笑顔で過ごせるようになるのを願って、心の中で「ダメな母親でごめん……でも大好きだよ!」と長女に謝りながら、夫や周りの人に長女を預けました。
一時保育やファミリーサポート、家事代行など、利用できる支援を利用するのも良いでしょう。
そうやって、また調子が戻るのを待ちます。
手は放しても心は放さない!自分らしい育児を大切に
私は一般的にみるとダメなママの部類だと思います。
体調を理由に家事・育児の理想を守れなくて、最低限のことしかやってきませんでした。
家事か育児、どちらかしかできない体調のことも多く、そういうときは子どもの面倒を優先してきました。
十分に手をかけてはあげられなかったですが、私なりに子どもたちのことを考えて、寄り添ってきたのは嘘ではありません。
「普通」の育児はできませんでしたが、手は放しても心は放さない「自分らしい」育児はできたかなと思っています。
子どもの心をしっかり抱きしめて、寄り添っていくためには、ママの体調が落ち着いていて、心に余裕があることが大切です。
体調を悪化させないことが、家族への一番の愛情・恩返しであると思っています。
これからも無理せず、気負わず、自分らしい育児を目指していきたいです。