自分の家族や知人に、難病の方はいらっしゃいませんか?また、「難病」という言葉を耳にしたことはあるけれど、どのような病気なのかわからない方もいらっしゃると思います。
今回は、難病の定義や指定難病との違いや、難病の種類・適用される制度などについて解説します。
難病とは?
難病とは、
- 発病の機構が明らかでない
- 治療方法が確立していない
- 希少な疾病
- 長期の療養を必要とする
といった条件が当てはまる病気のことを指します。
その中でも、良質で適切な医療をおこなう必要性が高く、一定条件を満たしている疾病を「指定難病」として厚生労働大臣が認定します。
指定難病の条件として、
- 患者数が本邦において一定の人数(人口の約0.1%程度)に達しないこと
- 客観的な診断基準、あるいはそれに準ずるものが確立されていること
以上のことが定義されています。
指定難病の種類としては、令和3年7月1日に施行されたもので338種類です。
指定難病だとどうなる?
指定難病になった場合、どんな制度が適応されるのでしょうか?
まずは、医療費助成制度が適用されるようになります。
高額かつ長期の療養が必要となる指定難病の治療では、高額な医療費が必要です。そのため、患者への負担軽減や治療研究を推進する目的で制定されました。
対象者は
- 前述した難病・指定難病の条件を満たしている
- 症状は軽度であるが12ヶ月間の医療負担額のうち、対象の疾病に必要とした医療費総額が33,300円以上を超える月が3月以上
といった条件が当てはまる人となり、申請をすることで制度が適用されるようになります。
医療費助成制度が適用された場合には、所得に応じて上限額が設けられ、その上限額までが自己負担として支払います。
例えば、わたしの場合ですと住民税非課税世帯なので、自己負担額の上限額は2,500円となっており、どれだけ難病の治療で通院しても2,500円を超えることはない、ということです。
(※病気や症状によって制度が細かく異なりますので、詳しくは厚生労働省のHP、あるいは自治体にご相談ください。)
また、以前は障害手帳を持っている方に適用されていた福祉サービスが、指定難病でも介護サービスや訪問看護などの福祉サービスを受けることが可能になり、就労移行支援施設においても障害手帳の有無に限らず利用できるようになるなど、福祉制度も整ってきています。
わたしの住んでいる名古屋市では、福祉向け市営住宅の入居者募集や市立公共施設に無料で入場できるなど、自治体独自の制度がありますので、ぜひお住いの自治体が取り組んでいる制度についても調べてみてください。
指定難病の医療費制度が受理されると、「特定医療費受給者証」というものがもらえ、病院や福祉サービスを受けることができますので、なくさないように、そして忘れずに持ち歩くようにしましょう。
指定難病ではない難病も…
しかしながら、比較的重いとされている難病でも指定難病とされていない病気もあります。
指定難病に認定されていない難病で代表的なもので言うと、筋痛性脳脊髄炎や線維筋痛症などがあげられます。
線維筋痛症は、歌手のレディー・ガガさんも患っている病気であることから、耳にしたことがあるのではないでしょうか。
例にあげたものはどちらも日常生活が著しく阻害される症状を持つ場合がほとんどです。
指定難病になることで、医療費の助成制度や福祉制度を利用できるケースもあるため、なるべく早く指定難病に認定されること、あるいはなにかしらの助成制度が完備されることを願います。
今後の制度改正に期待
このように、指定難病にはさまざまな制度があり、だんだんと制度が整ってきてはいますが、わたしはまだまだ不十分だと感じています。
例えば、ハローワークでは難病の方でも障害者対象の窓口で職業相談ができますが、手帳を持っていない難病患者は企業側から断りを受けるなど、就職面で苦労することでしょう。
また、働くことが難しいのに、手帳がなく障害年金を受給することが難しいなど、生活する上でも厳しい状況があります。
そのため、近い将来には実現しそうですが、難病患者にも症状に応じて手帳を配布し、雇用の平等化を図ることや、生活を送ることができるよう支援の幅を広げることができたら、未来は少し明るくなるのではないでしょうか。
まだまだ、制度は整っている最中です。ただ、一人で悶々と考えているだけでは何も変わりません。こうして声を挙げることで、だんだんと制度が整っていくことを、切に願っています。
参考文献
厚生労働省 難病対策
名古屋市 難病患者さんとご家族のサポートブック