障害があるから「◯◯してくれて当たり前」という勘違い。職場での配慮を受けやすくなるための3つの心がけ。

障害のある人が企業で働く場合、職場での配慮を必要とすることがあります。しかし、中には適切な配慮を受けることができずに働きにくいと感じる人もいます。

今回は、私の実体験をもとに職場での配慮を受けやすくなるための心がけを紹介します。

合理的配慮と障害者雇用

平成28年4月から障害者差別解消法の施行により、行政・学校・企業などの事業者は、対象となる方に対して合理的配慮を提供することが義務化されました。

合理的配慮とは、障害者が社会生活をする上で直面するバリアを、事業者が可能な範囲で対応することです。たとえば、車いすユーザーが入口に10cmの段差がある施設を訪れた際に、簡易スロープを設置したり、車椅子を後ろから押してサポートしたりすることを指します。

また、障害者雇用では、合理的配慮により障害のある人とない人の就労機会や待遇を平等に確保することが企業に義務づけられています。

私は3年前に障害者雇用枠で大学に就職しました。大学側は、私の内定が決まってからハード・ソフトの両面においてどのような整備が必要か、コミュニケーションをとってくれました。

このように合理的配慮のおかげで、身体障害があっても以前よりサポートを受けやすくなりました。

一方で世間に目を向けてみると、合理的配慮によって新たな問題が生じているようです。

特に障害者雇用においては合理的配慮という言葉がひとり歩きして、「いかなる状況でも配慮してもらえる」という誤った認識が少なからずあるように感じています。

法律では、企業等が合理的配慮を提供する場合に「負担が重すぎない範囲で、対応に努めること」と定められています。

つまり、合理的配慮とは、障害を理由に困ったことがあればどんな要望も対応してくれるというわけではありません。

障害当事者が配慮を受けるために必要な心がけ

では、このような事情を踏まえて、働きたい障害当事者に必要なことはなにでしょうか?

私は「この人と一緒に働きたい」と思ってもらえるような人間性が大切だと考えます。
企業や職場の人たちにこの人と一緒に働きたいと思ってもらえたら、合理的配慮はおのずとついてくると思います。

では、どのようにしたら「この人と一緒に働きたい」と思ってもらえるのか、私が普段から心がけていることを紹介します。

①笑顔で挨拶する

常にだるそうな表情で不機嫌な人と笑顔で挨拶をしてくれる人がいたら、みなさんはどちらの人と働きたいですか?笑顔と挨拶は身体障害があっても、ほとんどの方ができる他者貢献です。

もちろん人それぞれキャラクターはあるので、笑顔が苦手な方もいると思います。それでも、可能な限り笑顔で振舞う方が周囲からのサポートを得やすくなります。

リモートワークをしている人

②感謝を伝える

みなさんはお礼を言わない人の力になりたいと思いますか?

障害があると周囲のお世話になる機会が多くあります。日々のサポートが当たり前になってくると、わざわざ感謝を伝えるほどのことでもないかなと感じるかもしれません。

しかし、どのような仕事であっても、人と人の関係が根本にあり、人間関係が良好であれば仕事が円滑に進みます。反対に、人間関係が悪ければ仕事そのものも停滞してしまいがちです。

人間関係を良好にするためには、感謝の気持ちを忘れず、小さなことでも何かしてもらった時にはきちんと「ありがとう」と伝えることが大切です。

③まずは自分から他者貢献する

他人から配慮を受けたいのなら、まずは自分から他人に貢献することが大切です。

人は相手から好意を受けると「お返し」をしたいという心理状態になる傾向があります。これを心理学では「返報性の原理」と言います。

たとえば、友人や同僚にピンチを救われたら、「次は自分が助けてあげたい」と思うでしょう。一方で、嫌なことをされたら、仕返しをしたい気持ちになることもありますよね。

そのため、普段から周囲に貢献する習慣がある人は、周囲から配慮を受けやすくなります。

他人に貢献できることがないと思っている人は、①笑顔で挨拶をすること②感謝を伝えることを実践してみてください。これだけでも十分な他者貢献です。

まとめ

今回は、合理的配慮の視点から、働きたい障害当事者が心がけることについて解説しました。

一般雇用も障害者雇用も、「この人と一緒に働きたい」と思ってもらわなければ就労できないことに違いはありません。社会や企業に変わってもらうことも必要ですが、自分からできることは何かを考えることも大切です。

まずは、笑顔で挨拶してみることから始めてみてはいかがでしょうか?

アピールしたい職歴・スキルだけで応募できる!
ABOUT ME
1988年生まれ。大学1年生のときにアメリカンフットボールの試合中の事故で首を骨折し車椅子生活となる。その後、アメフトのコーチを6年間経験し、現在は、大学教員としてスポーツ心理学の研究とアスリートのメンタルトレーニングを実践しつつ、YouTubeチャンネル「suisui-Project」で車椅子ユーザーのライフスタイルを発信している。