難病にも手帳があったら~障害者と難病患者の雇用の現状~

白い壁と床のシンプルなオフィススペース。茶色の椅子とデスク、ノートパソコン、ランプが配置されている。背景には時計と植物があるテーブルが見える。

もしも、難病患者にも障害者と同じように手帳をもらえたら。
企業には雇用の義務が設けられ、今よりも難病患者の方が働きやすくなるかもしれません。

今回は、そんな「もしも」のお話をさせてください。

はじめに

なんとなく、近い将来に叶いそうだけれど、未だに疑問に思っていること。
それは、なぜ難病患者には手帳がないのだろう?ということです。

確かに、投薬をしていれば普通の人と同じように働くことが可能な方もいらっしゃいます。ですが、難病患者の方の中には、ほぼ寝たきりの方や、介助がいらないにしても健常者と同じように働くことが難しい方もいらっしゃるでしょう。

わたしは日常生活をほぼ健常者と同じように過ごせますが、それでも一日中寝込んでしまう日もありますし、外出も誰かと一緒でないと不安な部分があります。

そして、だるさや痛みで動けない時が多いため、健常者と同じようにフルタイムでの出社が厳しいといった現状です。

このような現状がある中、今のところ難病患者で生活・就労が困難な方に対しての救済措置がないように感じています。

難病患者の暮らし方

明るいリビングルーム。グレーのソファに青いクッションが置かれ、背後の窓辺には猫が座っている。白いテーブルとランプも配置されている。

現在、難病の方はどのように暮らしているのでしょうか?

わたし自身、病気の悪化により一人暮らしを何度も失敗しており、実家に戻ったり、現在は彼の家に一緒に住まわせてもらったりしています。きっと、実家暮らしの方も多くいらっしゃるでしょう。

中には、難病患者でも一人暮らしをされている方もいると思います。それってほんとうにすごいことだと思います。

そんな中、金銭面で考えるとどうでしょうか。
実家暮らしやわたしのように同棲・ルームシェアをしている方であれば、それほど金銭面での負担は少ないように感じます。

(実際問題、彼の持ち分が多くなってしまっていることは深く反省しています……それでも一緒にいることを選んでくれた彼に感謝です)

しかし、一人暮らしとなると、家賃・光熱費・食費・その他諸々の支払いなど、全て自分で支払わなくてはなりません。
不安定な体調・不安定な雇用形態・不安定な収入の中、暮らしていける人はほんの一握りなのではないでしょうか。

確かに、難病であれば生活保護という制度は利用できなくもないですが、できれば自分の力で独立し、稼いでいきたいですよね。

こんな時、難病患者の雇用枠があれば、少しは就職難や低収入から脱却できるのではないのかな……という希望的観測には近くなってしまいますが、わたしはそう考えています。

障害者雇用の現実

車椅子の男性と2人の同僚がオフィスでノートパソコンを見ながら話し合っている。

話は少し変わりますが、障害者雇用の制度についてみなさんはご存知でしょうか?

障害者雇用の制度として、障害者雇用率制度というものがあり、民間企業の場合は従業員数43.5人以上の企業が制度の対象となっています。この制度では、社員数に応じて一定数の割合の人数で障害者を雇用することを義務付けています。

制度を守らずに障害者雇用をおこなっていないと、ハローワークから行政指導が入り、納付金や社名公表などが課される場合があります。

(参照元:厚生労働省 障害者雇用率制度

この制度のおかげか、障害者の雇用をおこなっている企業が多くなってきていますが、行政指導を回避するために仕方なく障害者の雇用をおこなっている企業もあります。

障害にも、身体障害・知的障害・精神障害があり、それぞれ人に応じて度合いが異なります。そのため、「働けそうな障害者の頭数を揃えただけ」「仕事が与えられない」などと言った現状があるようです。

また、知人の会社では、精密さが大切になることから、行政指導を受けてでも障害者の雇用をおこなっていないなどといった現状があります。職種によっては障害者の雇用が難しいという現状を悔しいながらも理解できますね。

誰もが活躍できる職場を

広々としたオープンプランのオフィスで、複数の従業員がデスクで仕事をしている様子。

以上のような現状がありますが、きっと誰にでも自分の能力を活かすことができる職場があるとわたしは思っています。

実際に、わたしが以前所属していた職場に障害者の方が勤務していました。少し麻痺がある方でしたが、しっかりと彼ができる範囲の仕事を任されていました。

このように、個人の能力に応じた仕事を割り振ることで、誰もが活躍できるような職場になるのではないでしょうか?

もちろん、時間がないなどの理由でその人だけを特別扱いできない場合や、特別扱いを良くない目で見る方もいらっしゃるとは思います(そもそも、特別扱いではなく、健常者と同じ土俵に立つための「合理的配慮」になるわけですが)。

それでも、誰もが平等に活躍できる職場になるよう、採用する側もしっかりと自社と個人の能力をマッチさせることができるかを加味しながら面接をおこない、求職者側もできることを明確にアピールする必要があります。

制度改正に期待!難病患者にもチャンスを

難病患者は「手帳がないから」という理由で、障害者枠での応募が不可能であり、一般枠での応募も、「難病だから」という理由で応募させてもらえないなど、就職活動において不利な部分が多いと感じています。

ですが、病気を隠して働くことはなんだかおかしいと思うし、難病患者という理由で一般枠でも障害者枠でも求人への応募ができないといった現状もおかしいと思っています。

せめて、難病患者にも手帳があれば、働き方の幅が広がると思いませんか?
自分の得意やできることを活かせる職場が見つかるよう、今後の制度改正を大いに期待しています。

そして、自分の得意やできることを活かせるよう、今のうちから得意やできることを洗い出して、磨いておきましょう!

アピールしたい職歴・スキルだけで応募できる!
ABOUT ME
1998年生まれ。17歳の時に全身性エリテマトーデスを発症、22歳の時に線維筋痛症を併発した。高校卒業後は広告代理店でライターとして勤務し、その後フリーのライターとして独立。 趣味はゲームをすること。noteではコラム未満の病気の話やエッセイなどを執筆している。