3人の子供がいる重度障害者の僕が分担している家事

僕は30歳のときに脳出血が原因で左手と左足が動かなくなりました。身体だけではなく、高次脳機能障害という脳の障害も抱えています。重度障害者である僕が家族と同居して普通に生活を送れるようになるまでには時間がかかりました。

脳出血後の生活と家族のサポート

僕は30歳のときに脳出血が原因で左手と左足が動かなくなりました。身体だけではなく、高次脳機能障害という脳の障害も抱えています。

3人の子供を持つ僕ですが、長女(20歳)と長男(19歳)は奥さんの連れ子です。次男(6歳)は再婚後にできた子供ということになります。

我が家では最初から今のように、家事などの役割分担がうまくできていたわけではありません。重度障害者である僕が家族と同居して普通に生活を送れるようになるまでには時間がかかりました。

今思い返すと、結婚当初は我が家にとって大きなミッションをこなしている時期でした。この時期を乗り越えることができたからこそ、今の我が家があると言っても過言ではありません。

今回はそんなことも含めて、家族のことについて書いていきます。少しでも参考になればうれしいです。

緑の背景に置かれた大小2つの家のミニチュア。3人の子供を持つ重度障害者の家庭と家事分担を象徴する画像。

障害と共に迎えた結婚生活の挑戦

僕は障害を抱えるまでは気ままな一人暮らし、障害者となってからは実家へと引っ越ししたことで障害者として他人と共同生活をすることに慣れていませんでした。おまけに高次脳機能障害で喜怒哀楽がうまく抑えられない症状もありました。

そんな僕が自分の障害受容もままならないうちに、結婚という人生の大きなターニングポイントを迎えました。奥さんには二人の連れ子がいたので、僕は結婚と同時に二人の子供を持つことになりました。

結婚当初、僕たちはうまくいっているとは言えない家族でした。日常的な口喧嘩も多かったと思います。

僕が当時、家族から言われていたことは「やってもらって当たり前だと思っている」、「頼み方が横柄だ」「自分で出来ないと決めつけている」などでした。僕の日常生活の態度からそのように感じていたようです。

僕の喜怒哀楽が抑えられないという障害特性も相まって、お互いの不満は日々僕たち家族を疲弊させていきました。

当時の僕は、家族からの不満などの言葉をうまく受け入れることができず、むしろ自分が馬鹿にされているような気すらしていたように思います。

しかし、時間とともに、家族で生活していくためには僕の障害を家族で受け入れていかざるをえない状況になっていきました。僕自身もプライドをなるべく持ちすぎないようにしながら、毎日コツコツと頑張っていくしかありませんでした。

そのかいもあって、僕はその時期にいくつかの家庭内での重要な家事を自分一人でこなすことが可能になりました。

洗濯物が吊るされているハンガー。3人の子供を持つ重度障害者が行う家事の一環としての洗濯物干しを示す画像。

片腕で行う家事の工夫と努力

僕には半身麻痺の障害があるので、家事は全て片腕で作業することになります。健常者ほどうまくこなすことは出来ません。

しかし、時間がかかるとしても僕が担当している家事の中には、家族にとってとても助かっているのではないかという重要なものがいくつかあります。

特に重要なのは、起床後すぐに行う洗濯です。妻に余裕があるときはシェアしてやってもらいますが、彼女が仕事の準備などで忙しい時などは僕が全てやっています。

片腕が動かない障害者の僕が洗濯について思うことは、今どきの家電は本当に便利だということです。片腕だと不便だと感じるのは洗濯ネットのチャックを閉めることぐらいですが、僕の場合は口で閉めています。

また、半身麻痺だけでなく記憶障害もあるので、操作を間違えないようにわかりやすく書いてもらった手順書を洗濯機から見える位置に貼り、その手順書を指さし確認しながら洗濯機の操作を行っています。

うちの洗濯機は特に高価なものではなく、一般的なタイプですが、問題なく使えています。たぶん洗濯は少しの工夫さえすれば誰にでも出来ると思います。

近代的な洗濯機の上部。3人の子供を持つ重度障害者が行う家事の一環としての洗濯を示す画像。

妻の手順書が助けた食洗器の使い方

洗濯を終えた後、妻が仕事の準備などで忙しいときや休日は、僕が食洗器を使い、シンクや台所に残っている食器を洗うようにしています。

以前は、滑り止め用のシートをシンクの底に置き、片手で食器を洗っていたのですが、あるタイミングで後付けでシンクの横に置くタイプの食洗器を購入しました。

食器洗いを格段に楽にしてくれた食洗器ですが、購入当初は僕にとって非常に扱いづらい家電でもありました。

高次脳機能障害の中の遂行機能障害という症状があります。遂行機能障害とは、見た目には非常に分かりにくいですが、物事に対して自分で計画を立てて実行することが難しくなる症状なのです。さらに、僕の場合は集中力が持続できないという症状もあります。

そのため、僕は食洗器を使おうとしても、どの場所にどのお皿を入れたらよいかをイメージ出来なかったり、食洗器にお皿を入れている途中で集中力が途切れてしまい、自分が何をしたかったのかが分からなくなってしまったりします。

高次脳機能障害のこれらの障害特性は非常にわかりづらいため、ふざけている、やる気がない、さぼっているなどと思われてしまうこともあります。

実際、僕は真剣にお皿を入れようとしていても、ふざけていると思われてもおかしくないくらいの量のお皿を食洗器に山積みにしてしまったこともあります。

しかし、食洗器をうまく使えずに苦労している僕を見かねた妻がアイデアを出してくれたことでこの問題は大きく改善しました。妻が洗濯機同様に、食洗器を使い方の手順書を作ってくれたのです。

手順書では、食洗器の中を区分けしてどの場所にどのようなお皿を入れていけばよいのかや、お皿を入れていく順番を簡単な絵で描いてくれています。僕はそれに従ってコップ、小皿、大皿、おわん、箸、スプーンなどを手順通りの向きに入れることで、食洗器を使えるようになりました。

ちょっとした妻の工夫でしたが、毎日僕の動きや様子を見ているだけあって、障害特性を理解したナイスなアシストでした。僕は本当にこういった家族のフォローに助けられる日々を送っています。感謝しなければなりません。

皿やコップが入った食器洗い機の内部。3人の子供を持つ重度障害者が行う家事の一環としての食器洗いを示す画像。

家事の役割分担と家族の支え

そして、忘れてはならない朝の家事の中にごみ捨てがあります。僕はごみ袋の口を結ぶことは出来ないので、事前に結んでおいてもらっているごみ袋をごみ捨て場まで運んでいます。ごみの量が多いときやごみ袋が重いときは押し車を使うこともあります。

僕は何曜日に何のごみを捨てたらよいのかなどを正確に覚えるのが難しく、忘れてしまうこともあるため、その都度、妻から教えてもらっています。僕はそれに従ってゴミ捨て場に捨てにいっています。

他にも、最近僕が見つけたお気に入りの家事があります。それは、小学1年生になった息子が学校で使う上履きを週に1度洗うことです。

お風呂場でブラシと石鹸を使い洗っているのですが、無心で洗い続けて上履きを白くしていく作業が快感になっています。白くピカピカに洗い上げるとすごく満足感を得られますし、息子にも喜んでもらえて一石二鳥です。

他にも小さなことはありますが、今回ご紹介したことが重度障害者の僕が最低限やらなければならない家事です。

我が家だけでなく、今は家事を夫婦でシェアしている家庭は多いと思います。健常者の夫婦ならばもっと多くの家事を役割分担しているのかもしれませんが、重度障害を持つ僕の家族の家事の役割分担はこんなところです。

おそらく、僕ができることはもっとあるはずなので、今後も探しながら頑張っていくつもりです。

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ABOUT ME
身体障害者で3人の父親。身体にハンディキャップを抱えながらも人生も子育てもどっちも楽しみたいとトライ中、しかしどちらも大きな壁ばかり、乗り越えられない壁はないと信じて頑張る44歳のパパ。