働きたいのに働く場所がない、難病患者の求職活動の実態

テーブルに広げられた履歴書や求職関連の書類、コーヒーカップ、スマートフォン。難病患者の求職活動の現実を示している。

みなさんは、転職の際にハローワークを利用したことはありますか?
わたしは、ハローワークを2回使用したことがあります。

ハローワークは無料で相談することができ、職業を紹介してもらえるとても便利な場所です。
面接練習にも応じてくれるので、使わないと損、と言えるでしょう。

求職活動の壁

さて、わたしは難病患者ですが、ハローワークの際に「一般枠」で求職活動をするか、「障害者枠」で求職活動をするかを問われました。

わたしは悩んでしまいました。
だって、「障害者」ではないから。

でも、一般…つまり健常者でもないわけで。
その時点で既に、求職活動の壁を感じていました。

障害者枠での求職活動

1回目のハローワークで職員の方は、迷うわたしに助言するように「一般枠の方がお仕事の幅がある」とおっしゃっていました。

その時は一般枠で求職活動をおこないましたが、2回目に利用したときは病気が悪化していることもあり、融通の利く職場を探したいと考えていたので、とりあえずは障害者枠で求職活動を始めることにしました。

障害者枠の職業相談スペースで、わたしは早速相談をしたのですが、なんども本当に働けるのかを聞かれました。

もちろん、働けると答えました。
働きたくて、相談に来ているのだから。

そして、何社か探してきてね、と言われ、同じ部屋にあるお仕事検索用のパソコンで、希望する職業と条件がマッチした会社を何社か印刷し、再びカウンターの職員に相談しに行きます。

そこで職員の方と相談しながら応募する企業を2つに絞り、応募したい企業に職員の人が確認の電話をかけてくれるのですが、事件はその時に起こりました。

「障害者の人じゃないと、って断られちゃった…。」

職員の方はまったく悪くないのですが、心底申し訳無さそうにそう謝られました。

そもそも、電話で応募できるか聞く段階で断られるなんて。

目の前が真っ白になる思いでした。

取り繕うかのように、「難病の人は手帳がないからね」と職員の方は言い、もう片方の会社に電話をかけ始めました。

企業には、障害者を雇う義務が課せられています。
だから、障害手帳を持っている人を雇用したいのは十分に理解できます。

一般枠で募集がかかっているお仕事では、わたしはまた迷惑をかけてしまう。
そう思い、障害者枠での求職活動のつもりでした。

けれど、障害者枠では門前払いを食らってしまいました。

八方塞がり。
わたしの状況は、その言葉がピタリと当てはまりました。

もう、どうしたら良いのかわかりませんでした。

障害者枠で就職したものの…

電話口の企業からはOKが出たので面接をし、運良く採用していただけました。

ですが、その企業でも結局健常者と同じぐらい働くことになり、後ほどハローワークからかかってきた定着確認の電話で、職員の人がドン引きするぐらい「合理的配慮」がなされていない勤務内容でした。

結局体調を崩して、その会社も1年で退職してしまいました。

青い背景に浮かぶ人物のシルエット。難病患者の孤独感や不安を表現している。

一般企業に就職しても、結局体調を崩してやめることになってしまう。

一方で、障害者枠で応募しようとすると、門前払いを食らってしまう。

就労支援施設を使うには、健常者に近すぎる。

わたしたち難病患者には、就労する場所がないに等しいのが実態です。
これは決してわたしだけの話ではなく、SNSを通じて同じ患者の方と接する機会があったのですが、その方々も口を揃えてわたしと同じことをおっしゃっていました。

「働く場所がない」
「就職しても続かない、続けられない」
「生きていくのがやっとだ」

実際に、わたしも退職後に転職先が見つからず、わずか21歳で生活保護を受けた経験があります。

身体的な障害や精神疾患が認められなければ、障害年金の受給資格も得ることができません。

わたしのような、軽度〜中程度の難病患者は露頭に迷ってしまい、残された道は生活保護というわけです。

働きたくても働けない。
このような現実は、すぐさま変えなければいけない問題だと思います。

難病患者の雇用問題の解決を心から願って

長いカウンター席でパソコンを使っている人物のぼんやりとしたシルエット。難病患者の求職活動の厳しさを象徴している。

わたしは運良く文章を書く能力に恵まれ、ライターとしてお仕事をいただくことができています。

ですが、それ以外の方はどのように生計を立てたら良いのでしょうか。

日々、自分にできることは何かを悩みながら、健常者のように働くことができない自分を責めているのではないでしょうか。

このような問題を解決するためにも、難病患者に手帳を配布し雇用の義務を定めるなど、等しく雇用の機会を与えるべきだと思います。

また、身体障害者や精神疾患患者と同じように、福祉の手を差し伸べるべきだと思います。

ようやく、福祉サービスが難病患者にも広がった今。
これらのことは、きっと近い将来に実現可能なことだとわたしは思います。

迅速に、このような問題から開放される難病患者が増えることを、こころより願っています。

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ABOUT ME
1998年生まれ。17歳の時に全身性エリテマトーデスを発症、22歳の時に線維筋痛症を併発した。高校卒業後は広告代理店でライターとして勤務し、その後フリーのライターとして独立。 趣味はゲームをすること。noteではコラム未満の病気の話やエッセイなどを執筆している。