私はHSP気質でうつの持病があるが、現在は障害者雇用枠で在宅勤務をしている。これまでは職場勤務をしていた時期もあるが、比較した上で在宅勤務の方が働きやすいと感じている。今回は私の経験を踏まえて、在宅勤務のメリットやデメリットについて書こうと思う。
はじめに
コロナ以前と比べてテレワークを導入する企業が増えている。2023年6月にはICT(情報通信技術)を活用した障害者のテレワーク雇用を推進するために、厚生労働省が企業向け相談窓口を開設したばかりだ。
一方、障害の有無に関わらず「テレワーク中心の労働環境からオフィスへの出社回数を増やす」オフィス回帰と呼ばれる動きも広まっている。
お客さまとの対面が必要な職種はもちろん、仕事の進捗がわかりづらい、コミュニケーションが取りにくいなどオフィス回帰に至る理由はさまざまだ。
そもそも、未だに多くの企業で、テレワークの導入体制が追いついていないのも大きな課題だろう。「仕事にならない」と感じる人が多いからこそ、オフィス回帰の動きが拡大しているのかもしれない。
私はHSP気質でうつの持病があるが、現在は障害者雇用枠で在宅勤務をしている。これまでは職場勤務をしていた時期もあるが、比較した上で在宅勤務の方が働きやすいと感じている。
今回は私の経験を踏まえて、在宅勤務のメリットやデメリットについて書こうと思う。
テレワークのメリット・デメリット
私は現在、完全在宅勤務でWebライターの仕事をしているが、この仕事をする前は職場勤務で宅配便の配達業務をしていた。コロナが流行る前には辞めていたが、続けていたとしても、仕事柄、テレワークは無理だっただろう。
職場勤務にもよい面はあったが、どちらかというと私はテレワークの方が働きやすいと感じている。その理由は、通勤時間がなく、対人関係で悩むことも少ないからだ。
HSP気質とうつ傾向があり、満員電車と早起きが苦手な私にはそれだけでも十分にありがたい。何より、今までの離職理由のほとんどが対人関係のストレスだったため、苦手な人と同じ空間にいなくていいという点が私にとってテレワークの最大のメリットだ。
一方で、テレワークではコミュニケーション面での課題や不安・孤独を感じやすい人も多いそうだ。私の場合、不安や孤独はそこまで感じないが、コミュニケーションの難しさは痛感している。
たとえば、チャットやメールで意思疎通がうまくいかずに誤解したりされたりするときがある。他には、相手の状況がわからないので文章が冷たく感じると、「忙しいのだろうか」「怒っているのだろうか」といった想像が膨らんでいき、遠慮したり悪い方へ考えたりしてしまうのが個人的には1番辛い。
HSP気質があるため、私が気にしすぎているだけかもしれないが、同じ言葉でも言い方次第で印象は変わるため、もう少し安心感がほしいと感じるときもある。
テレワークで気をつけた方がいいこと
テレワークでは、業務の速さやパソコンスキルよりも、マナーやITリテラシー、自己管理などを重視する企業も少なくない。たとえば、メールやチャット、オンラインミーティング時のマナーでは挨拶だったり、相手を気遣ったりすることも大切だ。
ITリテラシーとは、パソコンやスマホなどの端末を使用するうえで、きちんと操作できる能力や適切に情報を取り扱う能力のこと。具体的には、パソコンの初期設定やアップデート、業務のなかでわからないことや疑問が生じたときにインターネットで調べる能力などのことだ。
もちろん、自己判断に自信がないときは誰かに相談した方がいいが、基本的にはまず自分で調べた方がいいとも思う。
自己管理とは、体調を崩さないために気をつけることだが、案外これが難しい。たとえば、就業開始時間までに起床するために夜ふかしを控える、風邪を引かないようにするといった体調管理以外にも、頼まれたタスクを確実に処理したり期日を守ったりするような仕事の管理も自己管理の一環だといえる。
また、どうしても間に合わない場合は期日を延ばしてもらえるかどうかを交渉することも必要だ。期日が来てから「間に合いませんでした」では、他人に迷惑をかけるというのが主な理由だが、それがわかっていても期日を延ばしてもらう交渉は気が重い。
働く上で「できないこと」が出てきてしまうのは仕方がないし、「注意されること」もあるが、うまくいかない場面が増えると、自己否定感が強くなる方も多いと思う。かく言う私も苦手で積み重なるとメンタルに不調をきたす恐れもあるため、ストレスのかかる場面での自己管理には特に気を付けるようにしている。
障害者雇用にもテレワークは広がっていく
日本でも働き方改革やダイバーシティ(多様性)への取り組みが進んでいるため、今後テレワーク形態の雇用は増えていくと予想される。
障害者雇用促進法では、「企業は障害者の雇用を継続していく義務がある」と定められており、法定雇用率(事業主は一定数障害者を雇用しないといけないとされており、その割合)も年々増加している。また、「障害のある人のテレワーク就労及び遠隔訓練のための支援マニュアル(厚生労働省)」では、「これまでの障害者雇用では簡易で定型的な業務が中心だったが、今後は障害者を戦力化することが企業責任だ」という見解を見かけた。
つまり、今後はより多くの障害者がさまざまな形態で企業に雇用されやすくなるともいえる。結果として、障害者雇用枠でテレワークの仕事が増えていくかもしれない。これは、自分にはどんな働き方が合っているのかを考えていく必要があることを意味している。
私自身は、出社とテレワークの両方を経験した上で、テレワークの方が働きやすいと感じている。私が働く上で特に気になるのは対人関係やコミュニケーションだけれど、出社とテレワークでは、その難しさが変わってくる。どちらも一緒に働く人がいるという点は同じだが、相手の顔が見えないテレワークでは、より丁寧なやりとりを心がけるようにしている。
皆さんの中で「テレワーク」という働き方を選択するのであれば、ここまで書いたことが参考になれば幸いである。